2008/12/10日本経済新聞 夕刊
多数が「対応何もせず」
募集時の説明と労働条件が違う――。若手社会人の約七割、アルバイト学生の半数がこんな「不当な扱い」を働く上で経験したと厚生労働省の調査に回答していることが十日分かった。不当な扱いを受けても「何も変わらない」「面倒」という理由で多くが何もしていないことも判明。同省は「労働者の権利やキャリア形成について教育を進めたい」としている。
同省が十―十一月、民間の調査会社の登録モニターに調査票を郵送。二十―三十代の社会人約一千人と、高校や大学、専門学校などの学生約五百人から回答を得た。
勤務先やアルバイト先で受けた不適切な扱い(複数回答)は「労働条件が募集時の提示内容と異なる」が社会人の三四・八%、学生の二一・八%が経験しいずれも最多。「不当な扱いの経験がない」は社会人で二八・九%、学生の五二・六%にとどまった。
社会人では「就業規則をいつでも確認できるようになっていない」が二八・二%、「労働条件を書面で提示されていない」が二二・六%で「残業代が支払われない」も二一・三%に上った。学生もほぼ同じ項目が上位に並んだ。
こうした扱いを受けた際の対応(複数回答)は社会人の場合は「同僚に相談」が二四・四%と最多で、「転職した・辞めた」が二二・五%だった。「何もしなかった」は社会人の四一・三%、学生の五四・八%と多数を占め、その理由としては社会人、学生とも「どうせ何も変わらない」「対処するのが面倒」が上位だった。
同省の担当者は「若い社会人や学生の多くが労働法規への理解が乏しかったり、理解していてもどうせ改善されないと考えたりして、結果的に問題が放置されがち」と指摘。「学校教育や社員研修の中で、労働者の権利と義務、キャリア教育を充実させる方策を検討したい」と話している。
【表】勤務先で受けた「不当な扱い」(単位%)
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学生
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社会人
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募集時の説明と労働条件が違う
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21.8
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34.8
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労働条件を書面で提示されない
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16.5
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22.6
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就業規則がいつでも確認できるようになっていない
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15.1
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28.2
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残業代が払われない
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5.3
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21.3
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残業代が割り増しされない
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4.9
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11.3
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残業時間を過少申告させられた
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1.4
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19.2
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休憩時間をもらえない
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8.1
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10.8
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上司・同僚による嫌がらせを受けた
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5.6
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15.9
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そのような経験はない
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52.6
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28.9
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