<リクルート商戦>就活前に学生囲い込み ピークずれ
高島屋日本橋店が開いた就活講座に参加した学生ら=東京都中央区で2011年9月21日、谷多由撮影
経団連が今年から、大学3年生を対象にした会社説明会などの開始時期を従来より2カ月遅い12月以降としたことで、9月から始まった小売り各社のリクルート商戦も影響を受けている。例年9月後半からの商戦ピークが1、2カ月ずれ込むとの見方もあり、無料の就活講座を開くなどあの手この手で顧客の早期囲い込みを図っている。
「開始時期が遅くなれば、受けられる企業数は少なくなる。厳しい時代なのでとても不安です」。こう話す男子大学院生(25)が今月21日に参加したのは、東京都中央区の高島屋日本橋店が初めて開いた無料講座。就職活動が本格化する12月までの2カ月間を利用し、月1回のペースで面接対策やスーツ選び、メーキャップなどの指南を受ける。情報を求める学生は多く、この日は約30人が参加した。
スーツ量販店や総合スーパーとの競争が激しくなる中、同店は「実際の就職活動が始まるまでに、化粧品や写真館までトータルで準備できる百貨店の強みをアピールしたい」と講座の狙いを話す。
専門店も例年より短くなる商戦に知恵を絞る。「洋服の青山」を展開する青山商事は、学生のスケジュールが過密化するとみて、「連日の活動に備えて2〜3着そろえてもらうよう、今年はさらに販促したい」と意気込み、ズボンを2本つけたスーツセットの品ぞろえを強化した。アオキも「毎日着用しても清潔に」と、洗濯機で丸洗いできるスーツを前面に押し出す。
リクルートスーツは男女とも黒や紺色など無難な色遣いが中心で定番化しているが、両社とも自社サイトで就職を希望する業界ごとの着こなしの目安をアドバイスするなど、学生たちへのアピールに躍起だ。各社とも「早めに顧客にアピールしたい」(アオキ)との思いは共通で、商戦は就職活動に先駆けて過熱しそうだ。【谷多由】