政府は、60歳で定年を迎える国家公務員について、希望者全員の再任用を義務づける閣議決定を15日にも行う方針を決めた。再任用については、民主党政権が決めた一律フルタイム(常時)勤務だけでなくパート勤務も認め、判断は各所管大臣の裁量に委ねる。人件費削減と新規採用の確保が課題にある中、パートによる再任用も認める必要があると判断した。
60歳から支給されている公務員共済年金の支給開始年齢が、今年4月から61歳に引き上げられ、今後12年間かけ段階的に65歳まで引き上げられる。定年後に年金も給与も受け取れない人が増えるのを防ぐため、4月には希望者全員の再雇用を義務づける改正高年齢者雇用安定法が施行される。
定年を迎える国家公務員については、人事院が平成23年9月、退職後の無収入期間が生じないよう定年延長を求めた。これに対し、野田佳彦政権は昨年3月、希望者には退職日の翌日からフルタイムの再任用を認めることを法律で義務づける方針を閣議決定した。
安倍晋三政権内では、定数抑制が進められる中、法律による再任用の義務化は各府省の人事のやりくりが難しくなるという見方が出ていた。同時に、再任用をフルタイムに固定すると、人件費にも影響するとして、民主党政権の方針を転換した。ただ、定年が5年も延長されていくことを考慮し、閣議決定する際には「将来的には定年延長を見据えた制度設計を目指す」とする内容も盛り込むことにしている。
一方、フルタイムかパートかを認定するのは所管大臣の裁量とすることで、判断基準が問題になる。再任用の多くがパートで占められた場合には「官製ワーキングプア」が生まれるなどの批判が出ることも予想される。