中国人に「違法労働」認定

長崎新聞 2013/03/05

訴えが認められ「勝訴」の旗を出す原告の王さん(右)と李さん=長崎地裁前(写真省略)

  外国人研修・技能実習制度で来日した中国人女性5人が違法な労働を強いられたとして、島原市内の破産した縫製会社の元社長や同制度の窓口機関、派遣仲介業者などを相手に、未払い賃金と同額の慰謝料など約3700万円の支払いを求めた訴訟の判決で、長崎地裁(井田宏裁判長)は4日、元社長らに慰謝料など計1064万円の支払いを命じた。

 原告側の弁護団によると、同制度をめぐる訴訟で外国人の派遣を仲介する「ブローカー」の責任を認めたのは初めて。

 研修生が労働者に当たるかどうかが争点で、井田裁判長は「縫製会社の指揮監督の下で労務を提供したのは明らか」として、労働者に当たると判断。元社長らには最低賃金法や労働基準法に違反するとの認識があったとし、元社長や受け入れ機関の理事、派遣仲介業者も含めて違法な低賃金、長時間残業、旅券取り上げなど人権侵害の共同責任を認めた。

 同制度の統括組織とされる公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)については「原告に研修などを行う当事者ではない」とし、原告側の訴えを退けた。

 判決後、原告側弁護団は「ほぼ全面勝訴」と評価。一方、縫製会社の元社長(65)は「判決文を精査していないのでコメントできない。弁護士と協議し控訴するか対応を決める」とした。

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