緊縮ノー 若者雇用にイエス EUに路線変更求めデモ 各国労働者集う

しんぶん赤旗 2013年3月16日

【パリ=浅田信幸】欧州連合(EU)の本部があるベルギーの首都ブリュッセルで14日、EU首脳会議の開催にあわせ、EUが進めている緊縮路線からの転換を求める欧州労働者のデモと集会が行われ、1万5000人が参加しました。

 欧州36カ国85労組全国組織が加盟する欧州労連(ETUC)が呼び掛けたもので、「緊縮ノー、若者雇用にイエス」のスローガンのもと、地元のベルギーのほか、フランス、ドイツ、英国、スペイン、ポルトガル、ポーランドなど各国の労働者が駆けつけました。

 現地からの報道によると、労働者たちは折からの寒風をつき「緊縮を廃絶せよ」などと書かれたプラカードやそれぞれの組合旗を手に、EU本部に向けて行進しました。

 集会で演説したETUCのベルナデット・セゴル書記長は、現在のEU指導部が望んでいるのは「労働市場の柔軟化であり、欧州社会モデルの破壊であり、労働者への攻撃だ」と告発。緊縮路線を成長と雇用重視の路線に変更するよう求めました。

 またベルギー労働総同盟(FGTB)のアンヌ・デメレンヌ書記長も「経済的にも社会的にも民主主義的にも自殺の論理」だと緊縮一本やりの政策を非難し、「この論理から抜け出す必要がある」と訴えました。

 債務危機に陥ったギリシャやスペインだけでなく、厳しい財政規律を求めるEUの方針の下で、多くの国が緊縮政策を進め、EU全体が不況に見舞われています。今年も不況から抜け出すことは困難だとの予測で、EU全体で2600万人に達した失業者数はさらに増加傾向にあり、特に若者層で深刻になっています。南欧諸国などでは過去最悪の失業率を更新しています。

 14日夜から始まったEU首脳会議は、この不況からの脱出がテーマの一つ。緊縮推進か、成長・雇用重視に軌道修正するのか、その結論に欧州だけでなく世界の目が注がれています。

 

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