本紙世論調査:移設反対くっきり 高いハードル

 沖縄タイムス  2013年4月12日
 
世論調査は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設へ向けた政府の県への埋め立て申請直後に行われた。普天間飛行場の辺野古移設への反対は74・7%(賛成15%)に達し、昨年5月の世論調査と比べ約8ポイント増加。注目されるのは辺野古移設に賛成する人の中でも22・9%が、埋め立て申請した政府の姿勢を「評価しない」と回答したことだ。漁協など一部利害関係者への説得を最優先する一方で、拙速な手続きは容認層の反発も招いている。

 名護市民に限っても、辺野古移設に賛成する人は県平均をわずかに上回るものの18・8%(反対72・9%)にすぎず、地元の理解を得ているとは到底言えない状況だ。埋め立て申請の仲井真弘多知事の対応については、「拒否すべきだ」と考える人が全県で77・3%、名護市民も76・6%と、ほとんど変わらなかった。

 来年1月にも実施される名護市長選挙で、辺野古移設容認派が支持を広げるには厳しい環境だ。知事が埋め立て申請を承認する政治的な大前提は、現時点では整いそうにない。

 宮古・八重山では辺野古移設に賛成が21・6%と最も多かった。米軍基地から派生する被害を身近に感じない一方、尖閣諸島の領有権問題で自衛隊強化を求める声が高まるなど保守化が進み、米軍への理解が一定進んでいる可能性がある。

 今回の調査で特徴的なのは米軍基地の全面撤去が49・3%で、縮小の39・3%を大きく上回ったことだ。2012年5月の世論調査では縮小が49%で、全面撤去は37%だったが、1年足らずで逆転した。本土復帰後、全面返還の声よりも段階的な縮小を求める声が強くなっていたが、県民の米軍基地へ意識の潮流が、変わりつつあるようだ。

 昨年10月、普天間飛行場へのオスプレイ配備以後、住民の安全を担保するはずの飛行ルールの日米合意がいとも簡単に破られた。日米地位協定の壁に阻まれ国内法が適用されない米軍基地や後を絶たない米兵犯罪への県民の視線は、厳しさを増している。そして、それを許す日本政府へも県民の怒りが向けられている。(政経部・知念清張)

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