危険手当ピンハネ今も 除染作業員ら支援集会

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013070702000119.html
東京新聞 2013年7月7日 朝刊
 
東京電力福島第一原発事故に伴う除染に携わる作業員らが、直面する問題を話す集会が六日、東京都文京区で開かれた。国直轄の事業で支払われる危険手当が今も事実上ピンハネされている実態や、ずさんな安全管理など変わらぬ現状が報告された。 (片山夏子)

集会は、除染や原発作業員を支援する「被ばく労働を考えるネットワーク」の主催。

「多重構造の中でひどいピンハネがされていた」。昨年、福島県楢葉町の除染に携わった男性(32)は、そう訴えた。日当は一万円。ところが、国から別に危険手当一万円が出ていると知った。会社に指摘すると、危険手当が支払われたかのように給料明細が改ざんされた。一方的に日当が県の最低賃金まで下げられ、危険手当と最低賃金から、会社が出すはずの宿代や食事代が引かれた形になった。

田村市で国直轄の除染作業をした男性(60)は日当一万千円で、危険手当はなかった。やめた後、危険手当未払いが問題になり、同僚は帳尻合わせの契約書を書かされた。「今、郡山市の除染で日当が一万三千円。国の危険手当がない地域だが、前よりも高い」

ネットワークのメンバーは、「同じ元請けや業者の作業なのに、国直轄で危険手当が支払われる地域と支払われない地域の日当が変わらない。ピンハネは明らか」と指摘。今は雇用時に、危険手当と最低賃金から宿代を引いたとする書類を書かされる形が、固定化されているという。

国の指示で行われた聞き取り調査が、元請け会社社員同席の場で行われる。アンケートに「問題なし」と書かないと解雇される。そうした実例を挙げ「賃金でも安全管理でも、文句を言う作業員は解雇されている。国の調査も問題。帳尻合わせされた書類だけを見て『問題ない』としている」とした。

除染作業員の被ばく線量管理がきちんとされていないことも報告され、懸念が出た。

集会には、除染現場の住民の姿も。郡山市の佐藤昌子さんは「国が田村市で行った住民説明会では『目標の線量まで落ちなくても住民が自己管理すればいい』と説明されたと聞く。賠償金打ち切りか再稼働のためか知らないが、戻れないうちに帰すのは誠意あるやり方と思えない」と国の姿勢に憤った。

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