2013年9月9日 NHKニュース 広島
自動車メーカー・マツダの山口県の工場で働いていた元派遣労働者が「実質的には正社員として継続雇用されていたのに不当に解雇された」などとして正社員としての地位を認め未払い賃金を支払うよう求めていた裁判の2審が広島高等裁判所で始まり、被告のマツダは全面的に争う姿勢を示しました。
この裁判は、マツダの山口県防府市にある工場で最大で5年7か月間働いたあと、雇い止めをされた元派遣労働者15人が、正社員としての地位を認め未払い賃金を支払うようマツダに求めたものです。
1審の山口地方裁判所は、ことし3月、「熟練した派遣社員の長期的な確保を目指したもので派遣労働を常態化させないという法律の根幹を否定している」などとしてこのうち13人について訴えを認め原告と被告の双方が控訴していました。
広島高等裁判所で始まった2審の裁判で、原告は「15人全員が違法な制度の中で働き続けていた」などとして全員を正社員と認めるよう訴えました。
これに対し、マツダは、「派遣労働者は各派遣会社と労働契約を結んでいて、マツダは採用への関与をしていなかった。法律の派遣可能な期間を超えて定着することまで目指していたものではない」などと主張し1審に続いて全面的に争う姿勢を示しました。
裁判を終えたあと、原告の元派遣労働者は、広島市内で集会を開き、15人の原告全員が、マツダの正社員と認められるべきだと訴えました。
この中で、原告の1人の佐藤次徳さん(48)は、「1審の裁判では原告のうち、13人が正社員だと認められましたが、残る2人も、正社員の地位を認められればいいと思います。そのために判決までに自分たちができることには、きちんと取り組みたい」と話していました。
また、原告の弁護団長をつとめる内山新吾弁護士は、「2審で裁判官が変わったからといって、負けるわけにはいきません。裁判では引き続き、私たちの考えを訴えていきます」と話していました。
一方、被告のマツダはNHKの取材に対して「係争中の案件なので、コメントできません」と話しています。