毎日新聞 2014年01月27日
「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A」を取りまとめたブラック企業被害対策弁護団の嶋崎量弁護士=横浜市中区で2014年1月16日午後4時53分、飯田憲撮影(写真省略)
過酷な労働の強制やパワーハラスメントで社員を苦しめる「ブラック企業」の被害を食い止めようと、ブラック企業被害対策弁護団が「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A」を発行した。法律になじみのない就活生や保護者を対象に、ブラック企業の見分け方から労働組合の役割まで分かりやすく解説したガイドブックだ。
弁護団は昨年7月、労働トラブルに強い若手を中心に結成され、全国の弁護士約160人が参加している。被害相談が後を絶たない中、働く上での基本知識が不足している相談者が少なくない現状が浮かんだ。そこで、具体例やノウハウを紹介するガイドブックの発行を企画し、46人が手分けして執筆した。
就職活動、内定、入社という時系列に沿った八つの場面で、66の質問に回答する形。具体的には、ブラック企業を見分けるポイントとして、3年以内の離職率、残業時間の実態、過労死や労組の有無を挙げた。賃金未払いや退職強要があった場合は、労働基準監督署への相談、労組と裁判所の活用を勧めた。若者の労働相談を行うNPO法人「POSSE」の今野晴貴さんらの特別寄稿もある。
B6判403ページで1785円。オンラインストアのアマゾンなどで購入できる。取りまとめ役の嶋崎量(ちから)弁護士(横浜弁護士会)は「働く上でのルール教育を社会に根付かせ、おかしいと思ったら労働者自らが声を上げられる環境づくりにつなげたい」と話している。【飯田憲】