賃上げ9割、うち半数近くがベア実施 経産省が大手企業調査

SankeiBiz 2014.5.30

 経済産業省は30日まとめた大手企業の賃上げに関する調査結果の中間集計によると、平成26年度に正社員の平均賃金を引き上げると回答した企業が全体の9割に達した。そのうちベースアップ(ベア)を実施した企業は半数近くあった。経産省は「アベノミクス」による企業業績の改善が賃上げにつながったと分析している。

 今年の春闘を踏まえた今回の調査では、正社員の平均賃金を「引き上げる」もしくは「引き上げた」と回答した企業が全体の92・2%上った。そのうち賃金体系を底上げするベアを行ったとする回答は46・7%だった。

 ベアを実施した企業のうち73%が「6年以上ぶりに実施」だったと回答し、平成20年のリーマン・ショック以来の回復が目立った。「14年以上ぶり」と回答した企業が14%、「創業以来初めて」との回答は4%だった。

 業種別でみると、機械や電気機器、輸送用機器など輸出型産業でベア実施が目立った。アベノミクスによる円安効果で業績回復が進んだ結果とみられる。一方、建設、食料品、陸運業など内需型産業ではベアの実施率が低かった。

 茂木敏充経産相は同日の閣議後会見で「調査結果からもアベノミクスの成果が着実に波及していることが見て取れる」と強調した。

 調査は、東証1部上場企業1762社に調査票を送り、5月14日までに提出された927社の回答を集計した。経産省は、8月をめどに最終結果を取りまとめるほか、中小企業を対象とした調査も実施する。

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