SankeiBiz 2014.6.23
転職支援のビズリーチが企業の女性人事担当者らに向けて実施したイベント。女性活用が進むためには行政の政策が必要との声が相次いだ=5月29日、東京都渋谷区(写真省略)
勤務地や職種、時間などを限定して働く「限定正社員」の普及を目指す政府が、この分野で先行する欧米諸国の意識や雇用慣行の実態調査に今夏、着手することが22日、分かった。
国内で、すでに「限定正社員」を導入済みの企業や社員へのヒアリング調査を同時並行で実施。国内外のモデル事例を集めて企業に多様な働き方の普及を促すことで、正規・非正規社員の二極化解消や、育児や介護との両立支援に弾みをつけたい考えだ。
海外実態調査は米国、フランス、ドイツ、オランダの4カ国を対象にして、企業に出向いてヒアリングを行う。マーケティング、人事、経理といった日本企業に一般的な部署で事務や管理部門の社員を対象とする。
海外では一般的な「限定正社員」の働き方に対し、日本の正社員は職務や労働時間、勤務地が限定されず、働き方は変わる可能性がある。
政府は、転勤や残業に無条件に応じる正社員、職務が限定され、雇用や賃金が不安定な非正規社員という二社択一になりがちな実態を問題視。その一つの解決策として、中間的な働き方に相当する「限定正社員」を拡充しようという方針だ。
労働政策研究・研修機構の調べによると、国内でも社員300人以上の企業の約5割は、非正規雇用の育成や育児社員の活用を目的に、限定正社員制度を導入している。
政府は企業へのヒアリングや約1万社へのアンケートで事例収集を行うとともに、海外実態調査結果と併せ、全国の企業にモデル事例の周知を図ることにしている。
ただ、限定正社員については企業からの拘束がゆるやかな一方で、賃金やキャリアといった待遇面の対応を懸念する向きもある。
このため厚生労働省は今月、正社員との処遇均衡や解雇回避への努力を求める、導入の指針を策定した。
国内外のモデル事例集と併せ、多様な働き方の普及による労働力の掘り起こしを働きかけることにしている。