SankeiBiz 2014.5.23
最低賃金の引き上げを求めてマクドナルド本社前で気勢をあげるデモ参加者=21日、米イリノイ州オークブルック(AP)(省略)
米イリノイ州オークブルックで21日に行われた賃上げ要求デモで、米マクドナルドの従業員100人余りが逮捕された。マクドナルド本社付近で行われたデモに参加した労働団体メンバーや聖職者からも逮捕者がでた。
デモは同社株主総会を翌日に控えた現地時間21日午後1時(日本時間22日午前3時)に始まった。ファストフード業界では時給15ドル(約1520円)以上の賃金と労働組合結成の権利を要求する労働者のデモが続いている。
主催者側によると、制服を着たマクドナルドの従業員約325人を含む2000人ほどのデモ隊が本社敷地内に突入し、「われわれにはより大きな価値がある」などと書かれた紙を掲げた。オークブルック警察は参加人数を推計1000〜1500人としている。
32台のバスで乗り入れたデモ隊の中にはサービス従業員国際労働組合(SEIU)のメアリー・ケイ・ヘンリー代表や全米で最も歴史のある市民権団体、全米黒人地位向上協会(NAACP)の幹部ウィリアム・バーバー氏らの参加もあった。
警察は不法侵入の容疑で約110人を逮捕したと発表。主催者側はマクドナルド従業員以外に、ヘンリー代表を含む労組関係者や聖職者ら36人が逮捕されたとしている。
マクドナルド広報担当者のハイディ・バーカー・サ・シェケム氏は、平和的なデモや労組加入の選択に関する権利を同社は尊重するが、現在は「翌日の総会に株主を迎えることに集中している」と述べた。デモ隊は株主総会が始まる22日にマクドナルド本社に向かう計画だ。
マクドナルドなどのファストフードチェーンに対し、従業員への賃金水準が十分ではないとの批判が高まっている。2012年11月にニューヨークでファストフード従業員が時給15ドルの賃金と組合結成の権利を訴えてデモを起こして以来、デモやストライキは全米のマクドナルド、タコベル、バーガーキングへと拡大した。
米労働統計局によると、同国のファストフード業界の従業員の平均時給は約9.08ドル、年間ではフルタイムで働いた場合で平均1万8880ドル。一方で連邦最低賃金は時給7.25ドル。一部の州では連邦最低水準を上回る賃金水準を定めている。
マクドナルドは需要の停滞と競争激化に苦戦しており、4月の米国内の既存店売上高は前年同月比でほぼ横ばいだった。
マクドナルドは世界に3万5400以上の店舗があり、米国ではその約90%がフランチャイズ。そのオーナーが賃金を決定している。サ・シェケム氏は「マクドナルドの賃金は大半で連邦最低賃金を上回っている。時給15ドルへの賃上げは、現実的ではない」と述べた。(ブルームバーグ Leslie Patton)