朝日新聞 2014年8月27日
経団連は会員企業への政治献金の呼びかけを5年ぶりに再開する方向で検討に入った。安倍政権との「二人三脚」路線を加速して政策への影響力を強めるためで9月にも正式決定する。ただ、国民から「政策をカネで買う」との批判が強まる可能性がある。
6月に就任した榊原定征会長が再開を検討する方針を表明。会員企業の間で議論を重ねており、9月上旬の会長・副会長会議などで共通認識として確認したうえで、正式に経団連としての考えを打ち出す。事実上、特定政党への献金を呼びかける方向だが、かつての自民党政権時に続けていたような具体的な献金額を企業や業界団体に割り振る「あっせん方式」はとらない方針だ。
法人税減税や労働時間規制の緩和など安倍政権の成長戦略は、経済界の意向に合う内容が目立つ。献金への関与再開でさらに企業に有利な政策の実現を目指す。
ただ、経団連の献金への関与には国民の批判が根強く、これまでも経団連の対応は二転三転してきた。非自民連立政権の誕生などを受け、「あっせん方式」は1993年で廃止。その後04年には自民、民主両党の政策を5段階で評価し、その結果をもとに企業に献金を促す方式で関与を復活させた。しかし、これも民主党政権の誕生で10年から中止した。政策評価は13年から再開しているが、「献金とは連動しない」と中立性を強調してきた。 (稲田清英)