有識者会議:女性就業5%上げ 50年後成長率2%へ

毎日新聞 2014年11月08日 07時30分

 政府の経済財政諮問会議に設置された有識者会議「選択する未来」委員会(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)が近く発表する最終報告書案の全容が7日明らかになった。50年後の目標として「人口1億人の維持」に加え、実質GDP(国内総生産)で1.5〜2%程度の経済成長を目指すべきだと提言。その実現に向け、2020年ごろまでに女性と60歳以上の就業率をそれぞれ5%程度底上げし、労働力や人材を確保することを求めた。

 同委は5月、人口1億人維持を明記した中間報告を策定。この目標は政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に盛り込まれ、人口減対策と地域活性化を担う「まち・ひと・しごと創生(地方創生)本部」の設置につながった。創生本部は年末、今後5年間の具体策を示す総合戦略をまとめる予定で、今回の報告書も反映される見通しだ。

 日本の人口は現状のままでは60年に約8700万人まで減少する恐れがあり、報告書案は「40年代にはマイナス成長に陥り、そこから脱することが難しくなる」と警告。こうした事態を避けるため、20年代初めまでに年少人口(15歳未満)の減少を止める▽40年ごろに人口の減少を収束させる−−との道筋を描いた。

 また、女性の活躍促進に向け、政府は20年までに女性管理職を3割にする目標を掲げているが、同時に女性の就業率(13年度47%)と60歳以上の就業率(同29%)も5%程度引き上げるよう訴えた。

 さらに、少子化対策予算の倍増や子育て環境の整備などに取り組んで、人口1億人を維持し、日本の生産性を世界トップレベルに引き上げれば、「長期的には(現状維持より)2ポイント以上経済成長率を押し上げることができる」との見通しを示した。【小倉祥徳】

 ◇最終報告書案のポイント

・2020年代初めまでに年少人口の減少を止め、40年ごろに人口減少を収束

・50年後も実質成長率1.5〜2%程度を維持

・20年ごろまでに女性と60歳以上の就業率を5%引き上げる

・少子化対策は早期の政府予算倍増を目指す。地方向け交付金も拡充

・人口、経済、地域社会の諸課題に一体的に取り組む

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