残業代:大企業1割守らず…割増率50%以下 厚労省調査

毎日新聞 2014年11月14日

 労働者が1カ月に60時間を超える残業をした場合に、50%を超える割増賃金の支払いが大企業などに義務づけられているが、約1割の大企業が50%以下の労使協定を結んでいることが、厚生労働省が13日に公表した2014年の就労条件総合調査で分かった。法定を下回る割増賃金の労使協定は無効となる。

 2010年4月に施行された改正労働基準法により、月60時間を超える分の残業代の割増率は50%超に引き上げられ、労使協定で割増率を定めることになった。300人以上の企業の場合、50%以下の割増率は一部の例外を除き無効になるが、300人以下の事業所などは適用が猶予されている。

 調査は従業員30人以上の事業所から抽出して実施し、4271事業所から回答を得た。それによると、労使協定で60時間を超える残業での割増率を定めている企業は29.3%(前年比4ポイント増)。このうち1000人以上の企業の11.7%、300〜999人の企業の21.1%で、50%以下の割増率を設定していた。

 厚労省が2020年までに70%とすることを目指している年次有給休暇の取得率は48.8%(同1.7ポイント増)だった。定年を一律に定めている企業のうち「65歳以上」とする割合は15.5%(同1.5ポイント増)となるなど、人手不足をうかがわせる結果も出た。

 厚労省賃金福祉統計室は「法令違反を調べる調査ではない」としたうえで「法定以下の割増率を設定していても、300人以上の企業で(資本金5000万円以下の小売業や卸売業など)適用が猶予されている事業所が含まれている可能性がある。対象企業であるならば、割増率の設定は無効だ」としている。【東海林智】

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