辞めないで新入社員=離職防止あの手この手−社長が家庭訪問、交換日記も

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時事ドットコム 2015年5月2日
 
新入社員らの研修で自らビジネスマナーを教えるソフネットジャパンの中村浩一社長(右奥)=4月16日、東京都立川市

 職場の人間関係に悩んだり、想像と違う仕事内容に失望したりして、せっかく入った会社をすぐ辞めてしまう新社会人が少なくない。厚生労働省の統計では、2011年春に就職した大卒者の13.4%が1年以内に離職。「五月病」の季節を迎える中、中小企業の経営者はあの手この手で新入社員の定着を図っている。

 名古屋市の自動車販売業「エアスト」の石川博章社長(44)は、毎年新入社員の家庭訪問をして、本人と家族に事業内容や経営方針を自ら説明する。会社との距離感を縮めるのが狙いで、入社式では一人ひとり文面の違う直筆の手紙を送り、社員の誕生日には必ず電話を入れる徹底ぶりだ。

 石川社長は新卒採用を始めた11年度、7人中5人が1年以内に辞めたことから「環境が整っていないのに新卒を入れても駄目だ」と痛感。翌年からシェアハウス型社員寮を導入するなどして「社員の家族化」を図ったところ、離職者は会社全体で年間1〜2人程度に減ったという。

 同市の総合印刷会社「マルワ」では、新入社員に職場での体験や悩みをノートに書かせ、鳥原久資社長(56)がアドバイスを返す「交換日記」を毎週続けている。小中学校で教諭経験のある鳥原社長のアイデアといい、「大手と違い、中小企業は新卒を採用してもなかなか続かない。最低3年は勤められる環境をつくりたい」と語る。

 ストレッチ専門店を展開する「ソフネットジャパン」(東京都)では、中村浩一社長(55)が自ら企業理念やビジネスマナーを教える社員研修を毎月開催。新入社員の生い立ちや将来の目標を上司に聞き取らせる独特の手法も功を奏し、3年前は4割台だった離職率を約1割に減らした。
 中村社長は「早期離職の原因はコミュニケーション不足」と断言。連休明けには五月病防止にフットサル大会も開くといい、新入社員の須藤康太さん(22)は「いい意味で垣根がなく、フレンドリーな会社。すぐに辞めそうな同期は見当たりません」と笑顔で語った。
 船井総合研究所(大阪市)のシニア経営コンサルタント藤木晋丈さん(34)は「新入社員が辞めると、採用や研修に掛けた費用の損失だけでなく、社内の雰囲気や人間関係も悪化する」と指摘。「トップが積極的に交流して考えを伝えるのは、会社への安心感や信頼感を強める上でも大きな効果がある」と話している。

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