労働者は増えたけど… 北海道の労組、組織率じり貧 非正規の加入進まず

北海道新聞 2014/12/23

図:道内の雇用労働者数と推定組織率(省略)

 企業や役所で働く労働者のうち、労働組合加入者の割合を示す推定組織率(6月末現在)が、道内は16・7%と2年連続で過去最低を更新したことが22日、道の集計で分かった。長期低落傾向に加え、非正規雇用者の加入が進まない現状が背景にあるとみられ「暮らしを守る組織として、パート労働者などに門戸開放を」と求める声も根強い。

 道によると、6月時点の道内雇用労働者はやや上向き傾向の景気を反映し、前年同期比0・5%増の約196万3千人。一方で労組組合員は約32万6千人と同0・3%減った。道内の推定組織率は記録が残る1960年以降69年の33・4%が最高で、今年は前年同期比0・1ポイント減り、ピーク時のちょうど半分になった。

 厚生労働省によると、全国平均も17・5%と、3年連続で過去最低を更新した。道内は加入率が比較的高い製造業が少なく、全国平均をさらに下回る。

 道雇用労政課は背景を「組織率が低い非正規労働者の雇用が増えているからではないか」とみる。北海道労働局によると、今年10月の道内の新規求人数に占めるパート求人の割合は前年同月比0・8ポイント増の30・7%と増加傾向。厚労省によると、全国のパート労働者の推定組織率は6・7%で、全体の半分以下の水準にとどまっている。

 労働問題に詳しい北海学園大の川村雅則准教授は組織率の低下について「既存の労組が非正規労働者に門戸を閉ざしている問題もある」と指摘する。

 これを裏付けるように、道央圏の自治体に勤める40代の非正規職員の女性は「職場の組合は正職員だけが対象で、非正規職員には何もしてくれない」と話す。札幌市内の衣料品店で働く非正規雇用の女性(29)は「組合に入ることと、待遇が良くなることが結びつかない」と、労組の存在意義を実感できずにいる。

 主な中央労働団体である連合、全労連はともに正規・非正規の格差是正を重点課題とし、啓発活動などに取り組んでいる。ただ、道内の労組関係者は「労組の呼びかけが働く人に届いていない」と認める。

 組合のない企業で働く人も個人加盟できる札幌地域労組の鈴木一副委員長(60)は「労組が既得権維持に終始している限り、労働運動は広がらず、いずれ組織率は10%を切る」と自己変革の必要性を指摘。その上で、働く人が賃金や労働環境を守るには団結権を行使して労組に加入するしかないとし「一人一人が自分の権利を守るため、行動を起こすことが大切」と話している。

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