http://www.sankei.com/west/news/150103/wst1501030061-n1.html
産経新聞 2015.1.3
就活自殺した青木佑介さん
「サインを出していたのに助けてやれなかった」。関西学院大4年だった平成21年7月に就活自殺した青木佑介さん=当時(21)=の父、昭さん(68)は、息子を救えなかった自分を今も責め続ける。
佑介さんが就活を始めたのは大学3年の冬。メーカーや銀行、ゲーム会社など50社以上の採用試験を受けた。しかし、リーマン・ショック(20年9月)直後で雇用環境は厳しく、21年5月下旬まで内定はゼロ。佑介さんは次第に「苦しい」「卒業しても希望がない」と落ち込むようになった。
5月下旬から6月上旬にかけて大手家具会社や地方銀行など3社から立て続けに内定を得た。迷いながら家具会社への就職を決めたが、7月に入って持病の腰痛が再発。重い家具を運ぶ店舗勤務ができるか不安になり、就活を再開した。他の2社に、辞退を申し出た後のことだった
佑介さんはこのころ、夜間に昭さんの布団に潜り込んだり、「早く帰ってきて」と甘えたりするようになった。昭さんは佑介さんの異変を感じつつも、「覚悟があれば困難は乗り越えられる」と叱咤(しった)し続けた。
《あー、いつまで就活するんや、俺。なんであの内定蹴ってもーたんや。なんで選考蹴ってもーたんや》
佑介さんはインターネットのブログで苦悩を吐露した。その1週間後の7月23日、自宅の居間で首をつって亡くなった。手帳には後日の面接などの予定がすき間なく書き込まれていた。
就活生の自殺を防ぐにはどうすればいいのか。昭さんは「私も息子も、就職するなら正社員でなければならないと思い詰めたことが落とし穴だった。親が子に多様な生き方を提示するとともに、異変を感じた場合はいったん就活を休ませることも必要だ」と話した。