すき家:残業60時間以上の社員9% ゼンショー有識者委

http://mainichi.jp/select/news/20150409k0000m020067000c.html
毎日新聞 2015年04月08日
  
 ◇「改善不十分」と指摘
    
 過重労働が問題となった牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングス(HD)は8日、有識者委員会の報告書を公表した。昨年3月は月109時間だった社員の平均残業時間は、今年2月、31時間まで低下したことなどを評価。ただ月60時間以上残業した社員が9%いるとして「労働環境が十分改善しているとも言い難い」と指摘した。

 委員会は、白井克彦・放送大学学園理事長(前早稲田大総長)を委員長とする5人の外部メンバーで構成。昨年11月に設置され、過重労働解消へ向けた会社の取り組みを調べてきた。

 残業時間100時間以上の社員は昨年3月には55.3%いたが、昨年10月以降はほぼゼロになった。同じくアルバイトは昨年3月の1.8%から今年2月には0.01%に減少した。休業する店が続出する原因となったアルバイト不足も、昨年8月以降は前年同月を上回る応募があった。ゼンショーHDは昨年6月、すき家の運営会社を全国7地域に分社化し、きめ細かい採用や労務管理を行ったとしている。白井委員長は「過重労働は緊急事態として回避されたが今後もやることはある」と述べた。一方、ゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長は「まだまだ問題解決の途上で、これからも改善が必要だ」と語った。

 人手不足のため、昨年10月には深夜営業を休止する店舗が1254店に上った。アルバイトの採用を増やし、今年6月末までにすべての店の深夜営業を再開する予定だったが、なお人手不足は続いており、9月末までずれ込む見通しを明らかにした。【神崎修一】

 【キーワード】ゼンショーHD

 牛丼「すき家」、丼とうどんの「なか卯」、ファミリーレストラン「ココス」、パスタ店「ジョリーパスタ」、回転すし「はま寿司」などを展開する国内最大手の外食企業。2015年3月末現在、国内に4583店あり、中国やタイ、ブラジルなど海外にも進出している。1982年、小川賢太郎会長兼社長が横浜市で創業。01年に東証1部に上場した。安値路線と24時間営業で快進撃を続けるとともに、M&A(企業の合併・買収)で業容を拡大した。15年3月期の連結売上高は5113億円、営業利益は26億円、最終(当期)損益は102億円の赤字を見込む。「ゼンショー」は「全勝」「善商」「禅の心で行う商売」という三つの意味を込め、小川氏が名付けた。

 

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