ブラックバイト、学生に忍び寄る 「4カ月無休」提訴も

朝日DIGITAL 2016年8月1日
http://www.asahi.com/articles/ASJ7T43DBJ7TUTFK00H.html

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大学生アルバイトが経験した主なトラブル

 学生アルバイトらが長時間労働などを強いられる「ブラックバイト」が最近目立っている。人手不足の中で学生バイトを酷使する例も出ており、学生も学業に支障が出ないように勤務時間や内容に注意する必要がある。

 飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」の首都圏の店で男子大学生(21)がアルバイトを始めたのは2014年5月だった。支援する労働組合「ブラックバイトユニオン」の訴えでは、当初は週4日勤務だったが、人手不足を理由に、同年秋ごろから出勤を求められることが増え、昨年8月に退職するまでの約4カ月間、休みがなかったという。店長からの暴言などもあった、と主張する。

 ユニオンは店をフランチャイズ契約で運営する「DWEJapan」(千葉県成田市)と団体交渉をしたがまとまらず、学生は今年6月、未払い賃金や付加金などを含む約800万円の損害賠償を同社に求めて千葉地裁に提訴した。

 DWE社の社長は朝日新聞の取材に応じ、連続勤務について「店長が強制的に働けと指示した認識はない」とした。本来はアルバイトが入力する勤務記録を、「学生が入力を忘れるため」店長が代わりに入力していたといい、出勤日や出勤時間で双方の主張に差があるという。社長は「(誰が入力したかを)確認していれば未然に対応できただろう」とした。「店長は学生を特に気にかけていた」としたうえで、暴言は指導が行き過ぎた結果だと認め「どんな事情でもやり過ぎだった」と述べた。

 フランチャイズ本部のレインズインターナショナル(横浜市)は、「司法機関の判断に従い真摯(しんし)に対応するよう(DWE社に対し)勧告する」(担当者)としている。

■条件、事前合意が大事

 学生のアルバイトの現状を把握するために厚生労働省が昨夏、大学生ら1千人に行った調査では、約6割が労働条件などでトラブルがあったと答えた。回答で多かったのは、「合意した以上のシフトを入れられた」「準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった」など。小売業や飲食業のトラブルが目立った。同省は業界団体に、企業が労働法を守っているかを確認するよう要請している。

 法政大の上西充子教授は「ブラックバイト」が目立つ背景について「人手不足で現場が回っていないからだ」と指摘。「『他のアルバイトがやめたのでもっと働いて』と店から頼まれ、簡単にやめられなくなるのはよくある。週に何回、何時間働くのかなどを最初に店側と合意することが大事で、それ以上の仕事を頼まれても学業に支障が出そうなら断って」と話す。

 賃金が15分単位で計算されるのはおかしいと学生が訴えて1分単位に改めさせたり、学習塾で授業の前に会議をしたのに賃金を払わなかったとして労働基準監督署が指導したりした例もある。上西教授は「弁護士や労働組合に相談することが大事だ」と話す。

 厚生労働省は平日夜間(月、火、木、金曜日の午後5時〜10時)と土日(午前10時〜午後5時)に無料で電話相談を受ける労働条件相談ほっとライン(0120・811・610)を実施している。ブラックバイトユニオン(03・6804・7245)も毎日午前10時〜午後10時に電話相談を受け付けている。(河合達郎、末崎毅)

■学生アルバイトでのチェックポイントは

・働く条件(期間や時間、時給など)を書いた書面を必ずもらう

・「15分未満の時給は切り捨て」のようなことは原則違法

・塾講師で授業時間外にオーナーや教室長にいわれて仕事をしている場合も時給は発生する

・バイトでも1日8時間、週40時間を超えて働くと残業代が出る

・働く時間が6時間超〜8時間以下なら45分、8時間超の場合は1時間の休憩を取れる

・一方的にシフトを変更されて困る時は、はっきりと断る

・法律上、商品の売れ残りを買い取る義務はない

・退職はいつでも申し出ることができる

(厚労省の資料から)

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