連合 「成果型労働制」容認 首相と会談 政府法案修正へ

 連合 「成果型労働制」容認 首相と会談 政府法案修正へ

毎日新聞2017年7月13日

https://mainichi.jp/articles/20170714/k00/00m/040/085000c

安倍首相と面会後、記者の質問に答える連合の神津里季生会長(中央)=首相官邸で2017年7月13日午後6時5分、宮武祐希撮影(省略)

連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長は13日、所得の高い一部の専門職を労働時間の規制や残業代の支払い対象から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の創設を柱とする労働基準法改正案を修正し、年間104日以上の休日確保を義務化するよう安倍晋三首相に要請した。政府は経団連の同意を得て修正に応じる構えで、連合も高プロ導入を事実上、容認する。

経団連関係者によると、来週にも経団連会長を交えた3者で会談する。

神津会長によると、安倍首相は「しっかりと受け止めて検討する。政労使合意が必要で、経団連と対応する」と回答した。神津会長は要請内容を「譲れない一線」と表現。政府は今年3月決定の働き方改革実行計画に盛り込んだ「残業時間の上限規制」などと併せ、今秋の臨時国会で労基法改正案の一括成立を目指す。

高プロと裁量労働制の拡大を盛り込んだ労基法改正案は2015年4月に閣議決定されたが、民進、共産両党と連合は「残業代ゼロ法案」「過労死を増やす」と廃案を強く主張してきた。

神津会長は首相との会談後、報道陣の取材に「方針転換ではない」と強調。「(与党多数という)今の政治状況の中で(健康確保措置が)不十分なまま改正案が成立してしまうことは耐えられない。何とか是正をするのは、今のタイミングしかない」と述べた。改正労基法について政府は19年4月1日施行を目指しているが、高プロ導入などでもめて1年先送りとなるのは、政労使ともに避けたい意向だ。企業の労務管理が年度単位で行われていることを考慮し、労働政策審議会は今年6月、残業に上限規制を設ける改正労基法の施行を「年度の初日から」と報告している。

また、神津会長は裁量労働制の拡大について「商品販売のみを事業内容とする労働者」を対象から明確に外すことも求めた。

一方、連合傘下の産業別労働組合「全国コミュニティ・ユニオン」は13日、修正要請を「長時間労働の是正を呼び掛けてきた組合員に対する裏切り行為であり、断じて認められない」とする抗議声明を連合本部に提出した。政府への要請は今月8日に唐突に各産別幹部に伝えられ、地方組織を中心に他にも抗議の声が出ている。10月に任期満了を迎える神津会長の去就にも影響を与えそうだ。【早川健人】

【ことば】高度プロフェッショナル制度

年収1075万円以上の為替・証券ディーラーやアナリストなどの専門職を、労働時間の規制や残業代、休日・深夜の割増賃金の支払い対象から外す制度。第1次安倍政権時代の2007年に法制化を断念した日本版ホワイトカラー・エグゼンプション制度に代わり、政権奪還後の15年4月に安倍内閣が閣議決定した。企業が複数の働き過ぎ防止策の中から一つを取り入れることを導入の条件としたが、「継続審議」になっていた。

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