朝日DIGITAL 2017年9月6日
http://digital.asahi.com/articles/ASK965HHPK96ULFA01F.html
宅配便最大手のヤマト運輸が、2017年度に扱う荷物量を前年度より約8千万個減らす計画を撤回したことが分かった。大口の法人客などと荷物量の抑制を交渉し、疲弊する宅配現場の労働環境の改善につなげる方針だったが、当初計画を見直して削減幅を3600万個に下方修正した。想定以上に法人客が値上げを受け入れて取引を継続するためとしている。
ヤマト、1千社と値上げ交渉 荷物、8千万個減めざす
特集:再配達に悩む宅配業界
当初計画では、荷物量を16年度の18億6700万個から17億8500万個に減らす目標を掲げたが、この目標を18億3100万個に修正した。値上げを嫌って他社に流れる顧客が思ったほど出ず、計画の修正を余儀なくされた形だ。
ヤマトが6日発表した8月の荷物量は1億5027万個。前年同月を2・6%上回り、8月として過去最多だった。前年同月を上回るのは2年5カ月連続で、インターネット通販の荷物量の増加が続いている。17年度に入ってからの累計の荷物量も4・2%増となっている。
ヤマトは4月、荷物量の抑制やサービスの見直し、基本運賃の改定などを柱とする「働き方改革の基本骨子」を発表。9月末までを目標に、大口の顧客や低運賃の荷物が増えている顧客と、値上げや扱う荷物の削減に向けた交渉を進め、その成果を荷物の総量抑制につなげることをもくろんでいた。法人客との交渉が想定通りに進んでいない結果、「働き方改革」の前提が揺らぎかねない事態となっている。(石山英明