「オプション算」5つのケースで給付水準の影響を試算 (8/27)

「オプション試算」5つのケースで給付水準の影響を試算
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NHK News 8月27日 17時03分

今回の財政検証では、今後の制度改正をにらんで、法律で定められた以外の「オプション試算」と呼ばれる追加の試算も行われました。

年金の適用範囲を拡大した場合
サラリーマンなどが加入する厚生年金の適用範囲を、パートなどの短時間労働者にも拡大した場合の影響を検証しました。

現在、短時間労働者が厚生年金に加入する要件は、▽従業員501人以上の企業で、▽週20時間以上働き、▽月に8万8000円以上の収入がある人となっています。

このうち従業員規模の要件を撤廃した場合、新たに、およそ125万人が厚生年金の適用対象となり、加入が進むと2047年度の「所得代替率」が50.8%から0.5ポイント改善するとしています。

さらに、賃金の要件も撤廃した場合には、加入対象はおよそ325万人に広がり、「所得代替率」は50.8%から1.1ポイント改善するとしています。

厚生年金の適用範囲の拡大は、年金財政を改善させるだけでなく、厚生年金に入る人も、将来もらえる年金が増えるので、「就職氷河期」世代の低年金対策にもつながると期待されていて、政府は、今後の制度改革の柱に位置づけています。

ただ、厚生年金の保険料の半分は企業が支払うため、適用を拡大すると、企業にとっては負担が増すことになり、中小企業などからの反発が予想されます。

このため、今後の年金制度改革の議論では、従業員規模や収入などの要件をどこまで緩和するのかが焦点となります。

受給開始年齢の引き上げた場合
公的年金の受給開始年齢を、75歳まで引き上げた場合についてです。

年金をもらい始める年齢は、現在、65歳を基本として、60歳から70歳の間で選べます。

受給開始を早めるほどもらえる年金額は少なくなり、逆に、遅らせるほど増える仕組みになっています。

75歳で受給を開始した場合、遅らせた分、受け取る年金額が増えるので、「所得代替率」は95.2%と高くなり、現役世代の平均収入とほぼ同水準となるとしています。

厚生年金の加入年齢を引き上げた場合
厚生年金の加入年齢の上限を、現在の70歳から75歳に引き上げた場合についてです。

その結果、年金の支え手が増え、2047年度の「所得代替率」は、50.8%から0.3ポイント改善するとしています。

70歳を過ぎても会社勤めを続ける人や、いったん退職したあと別の会社に再就職する高齢者が増えています。

しかし、厚生年金に加入できるのは70歳未満となっていて、70歳になると同時に加入資格を失います。

政府は、加入期間を延ばせば、年金受給額を増やすことができるとして、加入年齢の上限を70歳以上に引き上げることを検討しています。

ただ、雇用する企業の負担も増えることから、企業側の反発も予想されます。

国民年金の納付期間を延長した場合
自営業者などが加入する国民年金の保険料を納める期間を現在の、20歳から60歳までの40年間から65歳までの45年間に延長した場合についてもです。

その結果、年金の支え手が増えることなどから、「所得代替率」は、50.8%から6.8ポイント改善するとしています。

在職老齢年金の見直した場合
企業などで働き、一定の収入がある60歳以上の人たちの年金を減らす「在職老齢年金」という制度を縮小・廃止した場合の影響についてです。

「在職老齢年金」の制度では、▽60歳から64歳までは、月々の給与と年金の合計額が28万円を超える場合、▽65歳から70歳までは、合計額が47万円を超えると年金が減らされます。

このため、「年金が減らされるなら、仕事をやめる」と考え、就労意欲をそぐ一因になっていると指摘されていて、高齢者の就労を促す観点から、制度の縮小や廃止が検討されています。

65歳以上の「在職老齢年金」を廃止した場合、これまで減額していた分の年金を追加で支払うことになるので、2047年度の「所得代替率」は、50.8%から0.4ポイント下がるとしています。

また、野党側からは、「在職老齢年金」の廃止は、「金持ち優遇ではないか」という批判も出ています。
 

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