労災認定: 08年度、精神疾患で269人 3年連続で最悪更新−−厚労省調査

仕事上のストレスが原因で精神疾患になり08年度に労災認定を受けた人が269人(07年度比1人増)と3年連続で過去最悪を更新したことが8日、厚生労働省のまとめで分かった。20、30代を中心に高い水準が続いており、半数以上を占めた。また、過労自殺の労災認定は66人、過労による脳・心疾患は377人(うち死亡313人)で前年度からそれぞれ15人減ったが、高水準で推移している。

厚労省によると、精神疾患の申請は927人(前年度比25人減)。08年度に労災かどうか決定した862人(前年度以前の申請を含む)のうち労災支給決定(労災認定)は269人。認定率は31・2%(前年度比1・8ポイント減)だった。

年代別では、30代(74人)、20代(70人)、40代(69人)の順で若年層の認定が目立った。特に20代は申請、認定とも前年度を上回り、若年層がストレスにさらされている実態が浮かんだ。業種別では製造業が50人、卸売・小売業(48人)、その他(43人)と続いている。また、過労自殺で労災認定されたのは50代が24人で最多、次いで40代(15人)、30代(11人)、20代(10人)だった。

一方、過労による脳出血や心筋梗塞(こうそく)などの労災申請数は889人(前年度比42人減)で2年連続で減少したが、認定された人の残業時間は、月80〜100時間未満が最多の131人、次いで100〜120時間未満が103人、120〜140時間未満が49人だった。100時間以上が前年度より増加しており、長時間労働が是正されていない実態が分かった。

厚労省職業病認定対策室は「人数は高止まりしており、職場環境は厳しいと危機感を持っている」と話している。【東海林智】

◇積極認定で警鐘を−−過労死弁護団の川人博幹事長の話
高い水準で推移しているが、厚労省が認定してない件数も多い。厚労省は積極的に認定して、過労死・過労自殺防止の警鐘を鳴らすべきだ。

詳しくは厚生労働省のホームページ

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