毎日新聞 <米大統領選>中間層底上げ打ち出す…民主が政策綱領発表

毎日新聞 9月4日(火)20時31分配信

 【シャーロット(米南部ノースカロライナ州)古本陽荘】11月の米大統領選で再選を目指すバラク・オバマ大統領(51)を民主党の大統領候補に正式指名する党全国大会が、4日から3日間の日程で始まる。同党は3日、党大会で採択する予定の政策綱領を発表。富裕層を優遇する共和党の経済政策を激しく批判し、教育や研究・開発などを通じ強い中間層を育てることで経済の立て直しを図る方針を明確に打ち出した。

政策綱領のタイトルは「ムービング・アメリカ・フォワード(米国を前に進める)」。共和党の大統領候補となったミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(65)を20回以上名指しで批判する選挙色の濃厚な内容だ。

綱領は、大統領選を「単に2人の候補者や二つの政党の選択ではなく、国家にとり、根本的に異なる道筋の選択」だと強調。

そのうえで、共和党は減税など富裕層の優遇で富が国民全体に広がることを期待するトップダウン型の経済成長を「いまだに信じている」と批判。この政策が「経済をガタガタにした」と指摘した。

民主党としては「中間層の経済的な安定を取り戻すことが克服すべき今日の課題」として、中間層重視の経済回復を目指す方針を強調した。具体策では、中間層向け減税、住宅購入支援の推進、教育機会の拡充を挙げた。

一方、同性婚を初めて支持する方針を明示し、人工妊娠中絶を容認。一定の条件を満たした不法移民の若者を米国人とする包括的移民法案も引き続き成立を目指す意向を明示し、民主党の支持基盤であるリベラル派に配慮する姿勢も見せた。

外交・安全保障では「核兵器なき世界」を目指す方針を明記。国際テロ組織アルカイダの弱体化やイラク戦争終結とアフガニスタン戦争が撤収段階に入ったことをオバマ政権の成果として強調した。

アジア太平洋重視と、日本などの同盟国との関係強化にも言及。北朝鮮には核兵器関連物資の拡散を行わないよう警告した。

中国については、「平和的な発展は歓迎する」一方で、「国際的なルールに従う必要があることを理解すべきだ」と警告した。

大統領選は、厳しい経済情勢を受け、支持率ではロムニー氏とほぼ横並びの接戦。08年に掲げた「チェンジ(変革)」に失望している支持者も多く、党大会最終日の6日夜(日本時間7日午前)のオバマ大統領の指名受諾演説は支持回復に向けた重要な機会だ。党大会では、ミシェル・オバマ夫人やクリントン元大統領も演説する

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