「教諭の暴力、自殺の要因」 体罰問題で大阪市教委

朝日新聞 2013/02/14

 大阪市立桜宮(さくらのみや)高校バスケットボール部の男子生徒(17)が自殺した問題で、大阪市教育委員会は13日、同部顧問の小村基(はじめ)教諭(47)による暴力で生徒が重大な精神的苦痛を受け、自殺の大きな要因になったとして、同日付で同教諭を懲戒免職処分にし、発表した。
 
市教委は、顧問や他の教員、生徒から事情を聴くなどして実態を調べた市外部監察チームの報告書と、顧問が提出した顛末(てんまつ)書などを踏まえて処分を決定。同教委が生徒への体罰や暴力行為で教職員を懲戒免職にするのは初めてで、監察チームの報告書も公表した。
 
市教委は、顧問が男子生徒に対し、練習試合でのプレーや態度などを理由に昨年12月18日に少なくとも数回、自殺前日の同22日に少なくとも計16〜20回、顔や側頭部を平手でたたいたと認定した。生徒の母親は生徒から「30〜40発くらい(たたかれた)」と聞いていたが、監察チームの報告書では「可能性は否定するものではない」としつつ、顧問が認めた回数を「認定事実」とした。
 
市教委は、生徒が主将になった昨年9月以降、叱る機会が多くなり、主将交代の話を度々持ち出したと指摘。そうした状況下での顧問の暴力について「生徒は重大な精神的苦痛を受けた。自殺したことの大きな要因と考えられ、自殺との間には関連性があるものと認められる」と結論づけた。
 
市教委はまた、顧問が19年前の就任時から「生徒に対する暴力を指導の一環と位置づけ、指導方法として効果的だとの考え」を持っていたと指摘。多くの部員に対し恒常的に平手打ちや足蹴りなどの暴力をおこなっていたとも認定した。
 
監察チームの報告書では、自殺した生徒が「本当に訳が分からない」などと暴力に苦しむ心情をつづり、顧問に手渡そうとした手紙や、実際に渡した別の書面の内容も一部盛り込まれた。
 
一方、顧問は提出した顛末書に「たたくことによって部員が成長しチームが強くなったことから、自分は間違っていないというおごりがあった。慢心だったと反省している」と書き、生徒への暴力を認めたという。
 
橋下徹大阪市長は13日、「一線を越えた暴力行為であり、妥当な処分だ。ただ学校も教委も止めることは出来ず、在校生や保護者も暴力的な指導をよしとしてきた。社会全体で一から考え直さなければいけない問題だ」と語った。

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 おことわり 朝日新聞はこれまで、小村基教諭について匿名で報じてきましたが、大阪市教委が外部監察チームの報告書などを踏まえ、教諭による生徒への暴力と自殺の関連を認めて懲戒免職処分としたことから、実名での報道に切り替えます。

 

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