「アベノミクス」が変調をきたし始めている
前日比で1143円下げた日経平均株価を示す証券会社の掲示板=23日午後、東京・八重洲、福留庸友撮影(写真不掲載)
期待先行で進んできた日本の金融市場に、急ブレーキがかかった。昨秋から一本調子で上がってきた日経平均株価は、約13年1カ月ぶりに1143円も値下がりして、円安も止まった。長期金利の乱高下も続いている。相場の上昇を頼りにしてきた安倍政権の経済政策「アベノミクス」に暗雲がたちこめている。
「一体何が起こっているんだ」。大手信託銀行で年金資金などを運用する担当者は、デスクのパソコンの画面を見て目を疑った。
23日午後0時半の取引再開直後から、売り注文が相次いでいた。100円、200円――日経平均株価はみるみるうちに値下がりして、下げ幅は30分足らずで500円を超えた。
「外国人投資家が、株価が上がった頃合いを見計らって売ったのではないか」「いや、個人投資家が一気に売っている」。電話でやり取りする関係者の間でうわさが一気に駆け巡った。
同じ頃、個人投資家の会社員の男性は、スマートフォンの画面から目を離せなくなった。「持っている株があれよあれよと値下がりしていく。仕事が手につかなくなった」
男性は昨年夏以降、円安で利益が増える自動車株に投資して、値上がりで150万円ももうけていた。しかし、わずか1日でもうけのうち30万円が消えた。