しんぶん赤旗 2014年1月7日
文部科学省は来年度から、教員の賃金を「業績評価」によって決める「年俸制」を導入する大学を重点的に支援する方針です。2014年度予算では「導入促進」に24億円を計上しています。これに対して、学問の自由と大学の自治をゆがめるものだとの声が上がっています。
年俸制導入は、文科省が昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」に盛り込まれました。安倍内閣が掲げる「産業競争力強化」に向けて、「持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す」大学に「改革」することが目的です。大学の種別化・ランク付け、学長の権限強化などと合わせて打ち出されました。
具体的には、「国内外の優秀な人材の活用によって教育研究の活性化につながる人事・給与システム」と称して、年俸制を導入する大学に運営交付金を重点配分。15年度までに「1万人規模で年俸制を導入する」との目標を掲げています。これは全教員の約19%に当たります。さらに、「シニア教員から若手・外国人へのポスト振替等を進める」として、1500人分の常勤ポストを確保するためにベテラン教員の追い出しを進めるとしています。
年俸制について全国大学高専教職員組合(全大教)は、人事制度に文科省が介入するものであり、「教職員の中に過度の格差を生み出し、将来に不安を与える」と批判しています。
すでに昨年の臨時国会では、大学や研究機関の非常勤講師など有期雇用の研究者が5年を過ぎると正規雇用に転換できる権利を10年に先延ばしする改悪を強行しましたが、「研究者の使い捨てを進め、研究を劣化させるものだ」と指摘されています。
全大教は、「国立大学改革プラン」について「政府が大学を産業政策の中に組み込み、産業競争力強化の観点だけに立った大学改革を行わせようとするものだ」と批判。「大学の自治を破壊し、国立大学の責任と自主性を蔑(ないがし)ろにする」と強調しています。