残業代ゼロ制度、年収1075万円以上で調整 政府案

http://www.asahi.com/articles/ASH176HSFH17ULFA03F.html
朝日デジタル 2015年1月8日
  
 働いた時間にかかわらず、成果で賃金を払うとする「残業代ゼロ」制度などを盛り込んだ政府の労働基準法改正案の概要が7日わかった。新制度の対象者を年収1075万円以上の働き手とする方向で調整するほか、働きすぎを防ぐため、会社にいる時間を制限する措置なども設ける。また、企業に対し、従業員の年休取得を義務づけることなども検討する。

 これまで政府の成長戦略では、新制度の対象者は「年収1千万円以上の高い職業能力を持つ労働者」としてきた。労働基準法には、高い能力のある労働者の年収要件を1075万円以上とする基準があり、新制度も省令で同額とすることを検討している。

 新制度には「働き過ぎを助長する」という懸念が強い。そのため新制度を導入する企業には、会社にいる時間の上限規制▽勤務の間に一定の休息時間を設けるインターバル規制▽年104日の休日取得規制といった、長時間労働を防ぐいずれかの仕組みを導入することを条件とする。医師の面接指導を義務化することも検討する。

 一方、年次有給休暇の取得を促すため、企業には労働者の希望を踏まえて年数日の年休を取得させることを義務づける。働きすぎ防止のため、中小企業では月60時間超の時間外労働の割増賃金を25%としているのを50%以上に引き上げ、企業の負担を重くすることで歯止めとする考えだ。

 厚労省は労働政策審議会で改正案のもとになる報告書をまとめ、今月下旬に始まる通常国会に改正案を提出する見通し。(末崎毅)

この記事を書いた人