パナソニック「追い出し部屋」消えた 業績回復で?

http://www.asahi.com/articles/ASH4P52X9H4PPLFA006.html?iref=reca
朝日デジタル 2015年4月22日
   
 パナソニックが、業績不振の部門から従業員を集め、対象者に「追い出し部屋」などと呼ばれた部署を、3月末で廃止したことが分かった。業績が回復して、必要性が薄まったと判断したとみられる。同じような部署をつくった大手メーカーでも存廃を巡る動きが出始めており、大手企業を中心に人員の大幅削減を迫られてきた流れが変わりつつあるといえそうだ。

 この部署は「事業・人材強化センター(BHC)」。業績が悪化していた2012年夏、デジタル機器関連の子会社2社に設けられ、横浜や福岡、佐賀の事業場に業績が悪い部門から多くの人が集められた。仕事は他部署の「応援」などとされたが、従業員から「余った人を辞めるように仕向ける狙い」との声が出ていた。

 パナソニックによると、BHCには3月末で約340人がいたが、大半が4月1日付で「応援」で関わった部門などに移った。

 ピーク時の13年4月には約850人が所属。在籍者は累計で約900人に達した。そのうち、定年も含めて約70人が退職。二十数人は現在もグループ会社や他社に出向しているという。

 パナソニックは、自動車関連など企業向け事業に力を入れることで業績が改善している。同社広報部は「追い出し部屋」との見方を否定した上で「成長する段階に移り始めた事業部が増えてきた。スキルアップ(技能向上)した人材が必要になってきたため再配置し、組織を解消した」と説明する。

 一方、現在も一部の工場では縮小などのリストラが進んでいる。今後について「経営状況にあわせ、社員の能力、スキルを最大限にいかせる組織を戦略的に設置することは今後もあり得る」としている。

 大手メーカーでは、コピー機大手のリコーが昨年、希望退職に応じなかった社員らの出向・配転命令を、裁判の和解に応じることで取り消した。東芝は各地の工場へ「応援」などに行く姫路工場(兵庫県姫路市)の「業務支援センター」を3月末で廃止した。(千葉卓朗、近藤郷平)

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