教研集会:大阪市の不使用処分、2審も違法

http://mainichi.jp/select/news/20151014k0000m040148000c.html
毎日新聞 2015年10月13日
  
 ◇大阪高裁判決 賠償命令は取り消し
     
 労働組合への便宜供与をしないと定めた大阪市の労使関係条例を根拠に、市教組が開く教育研究集会に小学校を使わせなかった市の処分は違法かが争われた訴訟の控訴審判決が13日、大阪高裁であった。角隆博裁判長は「学校運営上の支障があるかなどを総合して考えず、条例のみを考慮した処分で、裁量権の逸脱、乱用に当たる」と判断。1審・大阪地裁判決に続き、市の処分を違法とした。

 一方、条例そのものは市議会の可決を受けて成立し違法ではないとした上で、処分を決めた管理者の校長に過失があったとした1審の判断を変更。「校長は職務遂行で条例に従う義務がある」と指摘し、「職務を尽くさず漫然と処分をしたとは認められない」として、約40万円の賠償命令を取り消した。

 控訴審判決で角裁判長は、条例の規定が「組合活動への便宜供与を一律に禁止したものではない」と指摘。学校施設の目的外使用は、管理者が「適正で健全な労使関係を阻害する便宜供与かどうかを考えて決めるべきもの」とした。

 その上で教研集会のための使用については「不適正、不健全な労使関係がまん延しているとは言えない」と判断。条例の規定を根拠に使用を認めなかった処分は、違法だと結論付けた。

 また、角裁判長は、条例の規定を「違法な処分の正当化のために適用すれば、職員の団結権を侵害して違憲」とした1審判断とは異なる判断をした。「便宜供与をしないことが直ちに団結権などを侵害するとはいえない」とし、違憲ではないとした。

 大阪市教組は約40年前から、教職員の指導力向上のために年1回、学校を借りて教研集会を開いてきた。控訴審判決によると、2012年7月と13年7月、市立小学校の使用を申請したが、市教委は労使関係条例の規定を根拠にいずれも許可せず、市教組は別の会場を借りて開いた。【堀江拓哉】

 稲田幸良・大阪市教組執行委員長の話 私たちを勇気づける判決だ。市は判決を真摯(しんし)に受け止め、学校での教研集会の開催を従来通り認めてほしい。

 大阪市教委の山本晋次教育長の話 (賠償命令を取り消したことなど)市の主張がおおむね認められたと認識している。

 ◇大阪市の労使関係条例

 橋下徹市長が「政治や人事に介入する職員労組は不適切だ」として2012年7月に議会提案し可決され、8月に施行された。労働組合活動に便宜供与をしないと定めたほか、組織運営や人事に関しての労使交渉を禁じた。

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