厚生労働省は8日の社会保障審議会生活保護基準部会で、2018年度中から食費や光熱費など日常の生活費にあてる「生活扶助」を全体として大きく引き下げる案を提示しました。一人親世帯に加算される母子加算も引き下げる方向です。
厚労省案では、生活保護受給世帯以外の一般低所得世帯の消費支出との比較をもとに生活扶助基準を算出。住んでいる地域によって増加する場合もありますが、大都市ではほとんどの世帯が減額になります。具体的には、中学生と小学生の子どもがいる40代夫婦の生活扶助(加算を除く)の支給額は、現行の月額約18万5千円から約16万円に大幅に減る例もあります。65歳の高齢単身者も、現行月約8万円から7万3千円に引き下げられます。
この日の部会では、専門家から大幅削減を懸念する声が相次ぎ、議論はまとまりませんでした。部会ではさらに議論を続けるとしましたが、今月中に結論を出したい考えです。
生活保護基準は5年に1度見直しが行われます。社会保障審議会の報告をふまえて厚生労働相が決定します。前回の見直し(13年度)では、生活扶助基準を3年かけて総額約670億円を削減し、全国各地で違憲訴訟が起こるなど反発が広がっています。