学生バイト、3割が「ブラック」…島根労働局

Yomiuri Online  2016年08月21日1

 サービス残業や長時間労働などを強いる「ブラックバイト」の社会問題化を受け、島根労働局が、島根県内の学生アルバイトの労働条件に関する実態調査を初めて行った。

 発表された結果からは、アルバイト経験のある学生の約3割が、労働条件を巡るトラブルを経験していた実態が浮き彫りになった。

 調査は6月、島根大や県立大短期大学部、松江高専の学生を対象にアンケートで実施し、523人から回答を得た。

 発表によると、アルバイト経験者は全体の67・7%にあたる354人。アルバイト先は、スーパーマーケット(19・1%)が最も多く、居酒屋などを除くチェーン飲食店(12・0%)、居酒屋(11・7%)、学習塾(11・1%)と続いた。

 トラブルがあったのは、アルバイト経験者の約3割にあたる107人。トラブルの内容を複数回答で尋ねたところ、労働基準法違反の疑いがあるものでは、「労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった」「準備や片付けの時間の賃金不払い」が目立った。

 同法以外の法令違反の疑いがあるのが、「採用時に合意した以上に勤務させられた」「採用時に合意した仕事以外の仕事をさせられた」「給与明細書をもらえなかった」などがあった。

 また、労働基準法では、雇用者が被雇用者と労働契約を結ぶ際、賃金や労働時間などの条件が記載された書面を交付するよう義務づけられているが、アルバイト経験者の半分以上にあたる197人が受けていなかった。

 アルバイトによる学業への支障についても、アルバイト経験がある約1割の38人が「ある」と回答。具体的には、「休む場合、自分で代わりを探す必要があった」「テスト前に勤務を強制された」などの意見が出た。

 県内でも学生アルバイトに対し、違法とみられる労務管理の実態が明らかになり、同労働局の安田幸次監督課長は「雇用者に法律順守を呼びかけるだけでなく、働く側の学生にも法律の知識を身に付けてもらうため、学校に啓発を促していきたい」としている。(宮地恭平)

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