exciteニュース エコノミックニュース 2019年5月8日 06:30 0
中高年社員の残業が増加中。月40時間以上3割。残業規制に賛成7割
現在多くの企業で働き方改革が取り組まれている。その主な目的は労働時間の短縮だ。政府統計を見ても全体として労働時間は短縮の傾向で推移しており、その点では概ね成果が出ていると言えるかも知れない。しかし一部の調査では管理職にしわ寄せが集中し、業務量が増えているというレポートもある。
この点に関し興味深いレポートが公表された。人材サービスのエン・ジャパンが35歳以上の自社サイト利用者を対象に「残業時間」についてのアンケートを3月に実施、2113名から回答を得て、その集計結果を16日に公表している。
このレポートによると、「残業時間は増加傾向か、減少傾向か」という質問に対して「変わらない」と答えた者の割合が47%と約半数で最も多く、「増加傾向」が26%、「減少傾向」が27%となっている。減少しているのは27%のみで約半数は変わらず、約4分の1が増加傾向と管理職が多い35歳以上の中高年では全体の減少傾向の様相とは異なるようだ。
業種別に見ると、「増加傾向」が多いのは「メディカル」と「流通・小売・サービス」の33%で、次いで「物流・運輸」の32%、「コンサルティング」の31%の順となっている。逆に少ないのは「商社」19%、「IT・インターネット・ゲーム」21%、「メーカー」22%、「金融」24%だ。
残業時間増加の理由を尋ねた結果では「社員の減少(退職・異動)」が57%、約6割と断トツでトップ、情報化によるリストラや人手不足が背景にあることもうかがわせる。減少傾向と答えた者にその理由を聞いた結果では、「残業規制による強制的な退社」が50%で最多となっており、働き方改革の成果を感じさせる。
「1ヶ月の残業時間」を聞いたところ、「40時間以上〜60時間未満」が16%、「60時間以上〜80時間未満」が8%、「80時間以上」が7%で40時間以上の者は31%に達する。
「長時間労働をしていると感じるか」という質問に対しては、43%が「感じる」と回答し、業種別では「流通・小売・サービス」53%、「コンサルティング」50%で半数を超えている。
働き方改革関連法の成立で2019年4月から「残業時間の上限規制」が義務付けられるが、「残業規制や残業撤廃に賛成か」と聞いたところ、「賛成」との回答は70%にのぼった。その理由については「自分のための時間を持つことができる」が60%で最多となった。しかし一方で「業務の持ち帰りやサービス残業を助長する」が55%と効果を疑問視し、反対する意見も見られる。(編集担当:久保田雄城)