□働くルール学ぼう 改正法で有給取得義務化 「ブラック」根絶へエール /東京
会員限定有料記事 毎日新聞2019年5月10日 地方版
連合が企画した「ワークルール、変えるのはあなたです!」=毎日ホールで
毎日メディアカフェのイベント「ワークルール、変えるのはあなたです!〜連合から働くあなたにYELL(エール)」が8日、千代田区一ツ橋1の毎日ホールで開かれ、120人が参加した。若者が働くことに関する基本的なルールを知らず、ルールを無視する「ブラック企業」の被害に遭うケースが社会問題化する中、参加者は熱心に議論に聴き入った。
イベントは、日本労働組合総連合会(連合)が企画。ブラック企業の実態などワークルールに詳しい上西充子…
□約70年ぶり!労働基準法が大改正 連合がワークルールに関するイベントを開催
時事通信 2019年5月16日 https://www.jiji.com/jc/article?k=000000021.000023559&g=prt
[日本労働組合総連合会]
「ワークルール、変えるのはあなたです!~連合から働くあなたにYELL~」
連合は、ワークルールに関するイベント「ワークルール、変えるのはあなたです!〜連合から働くあなたにYELL〜」を5月8日(水)に毎日ホールで開催しました。
当日は、多くの熱狂的なファンをもち、精力的に全国ツアーを行っている歌手の「ぽこた」さん、Webを中心にさまざまなメディアで活躍する「ナオキ兄さん」、法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授と日本労働組合総連合会の相原康伸事務局長の4名が登壇しました。会場にはワークルールに関心を寄せる約120名の一般聴講者が参加しました。MCのナオキ兄さんからは「ワークルールを学ぶとともに、どう変えていくのかを考えるイベントです」とセミナーの趣旨を説明しました。「労働組合は少し遠い存在かもしれないが、大事な役割を担っていることを知ってほしい」と相原事務局長は述べました。ぽこたさんは「28歳までサラリーマンをしていた。年賀状の配達のアルバイト経験もある」と自身の就業経験について話しました。
第1部は「ワークルールを知っちゃおう!」。クイズ形式でワークルールが出題され、配布資料の若者応援マガジン「YELL」と「働くみんなにスターターBook」を使って解説が行われました。1問目「労働時間の上限は8時間と決められているか?」(答えは「決められている」)では、相原事務局長から「会社が労働者に年次有給休暇を5日間取得させることが義務化された点、また労働時間の上限規制が設けられた点など、長時間労働是正のために約70年ぶりに労働基準法が大改正された」と説明がありました。
続いて、「週1日勤務のアルバイトは年次有給休暇を取得できるか?」(答えは「取得できる」)では、上西教授より「アルバイトも労働者なので有給休暇の取得は可能。働く期間に応じてきちんと有給休暇は付与される」と説明がありました。さらに、世界の有給休暇取得割合を比較すると、ブラジル・フランス・ドイツでは100%のところ、日本では50%と半分の取得率であり、日本で制度が活用されていない現状が語られました。
第2部では実際に参加者の声を聞きながら、希望する働き方とそのためにほしいルールについて考えました。
「職場で困っていることは?」というナオキ兄さんの投げかけに対し、参加者より「繁忙期と閑散期があるので、勤務時間を柔軟にしてほしい」との声がありました。それに対して相原事務局長は「マネジメント側の能力が求められる。一方で、成果を出すためには時間をどのように使って働くのかというセルフコントロールも必要」と回答しました。
続いて「ハラスメントを受けた経験はあるか?」の問いに対し、何名かの参加者が手を挙げました。
相原事務局長は「連合には、年間1万5000件の労働相談が寄せられている。以前は賃金にまつわる相談が多かったのが、今はハラスメントが多い。これが職場の実態を表しているのではないか」と説明しました。こうした現状から、上西教授は「社会に問題が溢れているのになぜ良くならないのかという疑問を持つ方が多いが、問題があれば政治がすべてを解決してくれるわけではなく、政治や法律によって問題を解決するためには私たちが声をあげ続けなければならない。職場においても、労働環境の改善のためには、労働組合を利用しつつ自分たちも参加して変えていかなければならない」と話しました。
トリマーの仕事をする女性から過酷な長時間労働の実態の話を受け、相原事務局長は「ぜひ連合にただちに相談してほしい。連合は世の中を良くするために一つずつ丁寧に対応する。職場の他の人も同じように感じているなら、労働組合をつくるという選択肢もある」と答えました。ぽこたさんは「経営者も気づかないことがあるので、声を上げることが重要ですね」と語りました。
最後に、登壇者から、「以前までは労働組合・連合は堅い団体だと思っていたが、労働問題に真摯に向き合ってくれる熱いスタッフさんが多い。ニコニコ超会議に出展したり、世の中に伝えていこうと色々な試みをしている」(ナオキ兄さん)「権利の主張だけではなく、どんな立場であっても労働環境の改善方法を考えて発言できる社会人でありたい。難しいと思ったらいち早く、労働組合に相談するべきだと思う」(ぽこたさん)「職場を良くする・働き方を変えることに私たちも関与することが一番大切。我慢して辞めていくという人が多いが、問題解決に向けて、人が定着する仕組みづくりに自分達が関わり、上司に働きかけることが大事」(上西教授)「労働組合は固い印象があるかもしれないが、人の為になりたい、役に立ちたいという気持ちで日々取り組んでいる。相談事は全力で対応します」(相原事務局長)とのコメントがあり、イベントを締めくくりました。
イベント終了後、相原事務局長は3名の参加者との労働相談を行い、問題解決に向けたアドバイスを送りました。
また、ぽこたさんのツイッター(@pokotaegamyer)には、「1週間に40時間労働。残業なしでも完全に超えていました。気をつけて働かないといけないですね」、「連合さんのお話がとてもためになりました」、「講演の内容も色々と面白く、日本もこれから仕事のしやすい環境になることを祈ってます」、「自分の会社も有給休暇の話題でもちきりなのでタイムリーな話が聞けてよかった」などのコメントが寄せられました。
連合は、今後も「働くことを軸とする安心社会」の実現のため、様々な活動を行ってまいります。
※当日の様子