「内部通報したら翌日解雇」 明電舎の元従業員申し立て (9/10)

上司と先輩の死因に疑問「調査主張したら解雇された」 と主張、労働審判申し立て
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申し立てた女性(左)と代理人の三浦佑哉弁護士(弁護士ドットコム撮影、2019年9月10日)
弁護士ドットコム 2019年09月10日 20時47分

電気機器メーカー「明電舎」に勤めていた女性(36)が9月10日、1年間の試用期間中に解雇されたのは不当だとして、慰謝料150万円や現在までの給与などを求め、東京地裁に労働審判を申し立てた。

入社からの半年間で、面倒を見てくれた中年の男性社員2人が相次いで死亡しており、過労死を疑って調査しようとしたところ解雇されたと主張している。

女性は記者会見で「たった半年の間に一番近しい上司・先輩を2人も失った」と語った。

一方、会社側は取材に対し、2人が亡くなった事実は認めたものの、長時間労働はなかったとしている。女性についても有期雇用(1年)の契約満了という見解を示しており、双方の主張が食い違っている。

●内部通報の翌日に解雇

申立書などによると、女性は2018年2月に1年契約で入社。不祥事防止やガバナンス強化などを担当する経営監査部に配属された。求人票には「雇用形態 正社員 ※試用期間有」と書かれており、女性側はこの1年は試用期間だったと主張している。

入社2カ月ほどした同年4月、採用の担当者でもあった隣席の上司が急死。隣から見ていても仕事量が多かったといい、女性はこの上司がため息をつく姿を何度も目にしているという。

さらに10月には、資材部に異動していた先輩の男性社員も病死(心不全)した。女性がこの部署の監査を担当していたこともあり、男性からは休日出勤も含め、大量の残業があると聞かされていたという。

男性の死後、女性は調査の必要性を訴えたが、一緒に監査を担当する60代の社員と意見が対立。11月5日に内部通報したところ、翌6日に契約期間を残して解雇を通告されたと主張している。

女性側によると、解雇理由は書面化されていないが、口頭では女性が海外の現地法人のみでの勤務を希望していることなどがあげられたという。女性は否定している。

これに対し、明電舎は女性の上司・先輩社員が亡くなったことは認めたものの、「遺族の了解を得ていないので、詳細は控えたいが、長時間労働の事実はなかった」と回答した。

試用期間中の解雇という女性の主張に対しても、1年間の有期雇用で契約満了による退社だとしている。

「内部通報したら翌日解雇」 明電舎の元従業員申し立て
https://www.asahi.com/articles/ASM9B4HS5M9BULFA00F.html
朝日新聞デジタル 滝沢卓 2019年9月10日21時09分

〔写真・図版〕記者会見する明電舎の元社員(手前)と代理人弁護士=2019年9月10日、東京都千代田区の厚生労働省

 大手電機メーカーの明電舎(東京都)に不当な理由で解雇されたとして、元従業員の女性が同社を相手どり、地位確認などを求める労働審判を10日、東京地裁に申し立てた。女性が代理人弁護士と厚生労働省で記者会見し、発表した。

 一方、明電舎は取材に対し、「申立書の内容を確認できていないためコメントは控える」としたが、「女性は有期雇用だったため、解雇ではなく、期間満了の退職だった」とした。

 申立書などによると、女性は2018年2月、明電舎に1年間の契約で採用され、不祥事などを調べる経営監査部に勤務。昨年10月に死亡した社員らの残業時間の調査に否定的な同僚がいるとして、女性は昨年11月、社内の担当者に内部通報をしたが、「その翌日に『継続雇用しない』と言われ、今年1月末に解雇された」という。女性側は正社員登用が前提の実質的な試用期間だったとして、解雇の無効を主張している。

 申立書では会社側が「国内勤務を拒否した」ことなどを理由にしたとしているが、女性側はそうした事実はなく、「内部通報が理由となっている」という。

 明電舎は社員が死亡したことは認めたが「プライバシーに関することもあり、詳細は控えるが長時間労働の事実はない」とした。(滝沢卓) 

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