外国人労働者受け入れ拡大半年 造船業界に在留資格「特定技能1号」
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2019/10/19(土) 16:00配信長崎新聞
外国人労働者受け入れ拡大半年 造船業界に在留資格「特定技能1号」
〔写真〕中尾社長(左)からアドバイスをもらう外国人労働者。現場では日本人が目を配れるようにヘルメットの色を分けている=佐世保市立神町、佐世保重工業構内
外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法の施行から10月で半年が過ぎた。本県の基幹産業、造船の現場では、早くも新たな在留資格「特定技能1号」(在留期間上限5年)を取得した外国人労働者が働き始めている。一方、高賃金の都市部に外国人材が集中するのではないかとの懸念もくすぶっている。
三菱重工長崎造船所の協力企業「吉本ハイテック」(長崎市神ノ島町1丁目)では、4人のフィリピン人が3年の技能実習期間を終え、特定技能1号に資格変更した。造船・舶用工業分野の国内第一号だ。
同社は2015年から技能実習生の採用を開始。4人を含め、これまで15人のフィリピン人を雇用してきた。来日前にベテラン技術者を1週間ほど現地へ派遣。一日でも早く戦力として働いてもらえるよう、丁寧に育てている。
同社の柳原哲也総務課長は「技能実習生を育てるには手間も時間もかかる。だからこそ、以前から『3年は短い』という声が上がっていた。特定技能は大変ありがたい制度」。現場で接する船舶部の宮原悟部長も「まじめで技術の習得が早い。長く働いてもらえるならば、それに越したことはない」と話す。
佐世保市立神町にある佐世保重工業(SSK)でも技能実習生らフィリピン人計112人が働いている。このうち8人は、特定技能1号への資格変更を申請中だ。
新制度で外国人労働者の受け入れが可能な14業種のうち、造船・舶用工業分野(溶接職種)と建設業の2業種だけ、より熟練の技量が必要な「特定技能2号」が新設された。家族帯同が可能で「永住」にも道を開く在留資格。21年度から試験が開始される。
特定技能1号に申請中のエリックさん(32)は来日6年目。「仕事は難しい。でもみんな優しい。ずっとここで働きたい」と日本語で話し、1号取得後は2号への移行も視野に入れているという。
監理団体「SSK協力事業協同組合」によると、07年以降、組合加盟社で技能実習生計257人を採用。加盟社の一つ、大住工業(佐世保市上本山町)の中尾勇喜社長は「彼らは実習を終えて帰国しても国に仕事がない。帰った子たちから『仕事をさせてほしい』という話がたくさん来ている」と実情を明かす。
ただ、特定技能は、同一業種であれば転職も認められており、賃金の高い都市部への人材集中が懸念される。中尾社長は人材難にあえぐ造船業界で「外国人の取り合いになる可能性もある」と危惧。「働きやすさや親しみやすさで勝負していくしかない。選ばれる企業になれるように受け入れ側も努力が必要」と話す。