雇用に陰り 9月求人倍率悪化1.57倍、製造業で減少
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2019/11/1 11:40日本経済新聞 電子版
堅調に続いてきた雇用情勢に変化の兆しが出ている。厚生労働省が1日に発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント悪化し1.57倍だった。米中貿易戦争による世界経済の減速で、製造業の新規求人数は8カ月連続で前年を下回った。
雇用の先行指標となる9月の新規求人数は、前年同月比1.5%減の91万7174人だった。前年同月比11%減となった製造業の落ち込みが目立つ。米中貿易戦争の影響に加え、IT(情報技術)活用による業務効率化や省力化を進めていることが求人数の減少に影響しているという。
総務省が同日発表した完全失業率(同)も0.2ポイント上昇の2.4%と6カ月ぶりに悪化した。全体では失業率が2.5%を下回る「完全雇用状態が続いている」(総務省)としたものの、正社員の就業者数は2カ月連続で減った。
他の指標をみても雇用に陰りがみえる。内閣府が10月31日に発表した10月の消費動向調査では、指数を構成する4指標のうち「雇用環境」だけが前月から悪化した。消費者心理の基調判断は「弱まっている」で据え置き、消費も力強さを欠く。
政府は雇用や消費は堅調との見方から、日本経済の景気回復は続いていると判断している。世界経済の減速が日本の雇用や消費に波及するかが今後の注目点となる。