8時間労働が当たり前に 福井で過労死シンポ、娘失った母が訴え
https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20191119/CK2019111902000012.html
中日新聞 2019年11月19日
娘を失った悲しみを語る佐戸さん=福井市の県国際交流会館で
過労死の防止策などを考えるシンポジウムが十八日、福井市の県国際交流会館であった。二〇一三年に過労死したNHK記者佐戸未和さん=当時(31)=の母恵美子さん(70)が講演し、「八時間労働が当たり前の社会をつくることが大切だ」と訴えた。
恵美子さんは「娘が死んで人生が百八十度変わった。絶えず沸き上がる怒りと悔しさをのみ込みながら生きてきた」と涙ぐみながら未和さんが亡くなってからの時間を振り返った。亡くなる直前に二百時間以上の時間外労働をしていたことや、点滴で高熱を抑えながら働いていたことなど過酷な労働環境を指摘し「過労死で亡くなった人を『負け組』と呼ぶ社会は許されない」と強調した。
労働衛生コンサルタントの桜沢博文さん(50)の基調講演もあり、社員の裁量権を高めたり、残業時間を減らすことでうつ病のリスクを半減できると説明した。肥満がうつ病のリスクを高めることにも触れ、継続的な運動や規則正しい生活をするよう呼び掛けた。
シンポジウムは、十一月の過労死等防止啓発月間に合わせ、厚生労働省が全国で毎年開催。県内の弁護士や社労士など約九十人が参加した。
(波多野智月)