企業の50.1%が正社員不足 (11/21)

企業の50.1%が正社員不足
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2019/11/21(木) 11:12 配信 帝国データバンク

従業員の過不足感

人手不足による企業への影響は「需要増加への対応が困難」がトップにあげられるなど、企業の成長を抑える要因の一つとなっている(帝国データバンク「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」)。また、2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法にともない、長時間労働の是正や年5日の年次有給休暇の取得義務化など、労働環境は大きく変化している。そのため、企業には生産性の向上による業務の効率化などが求められている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2019年10月の結果をもとに取りまとめた。

正社員不足は50.1%、前年同月からやや減少するも高水準続く

現在の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」している企業は50.1%だった。依然として半数を超える高水準ではあるものの、1年前(2018年10月)から2.4ポイント減少した。「適正」とする企業は41.1%で同1.0ポイント増加、「過剰」とする企業は8.8%で同1.4ポイント増加した。

「不足」している企業を業種別にみると、「情報サービス」(75.3%)がトップとなり、「建設」(70.4%)でも7割以上の企業が不足を感じていた。以下、「運輸・倉庫」(66.1%)、「自動車・同部品小売」(65.7%)、「娯楽サービス」(63.6%)、「医療・福祉・保健衛生」(61.8%)などの7業種が6割台となった。不足割合が6割以上となった業種は、1年前と比べて1業種増加している。

規模別にみると、「大企業」(61.4%、1年前比0.6ポイント増)では6割以上の企業が「不足」と感じており、10月としては6年連続で過去最高を更新。「中小企業」は47.3%(同3.0ポイント減)、「小規模企業」は43.8%(同1.5ポイント減)の企業で不足していた。「大企業」の不足割合は増加している一方で、「中小企業」では減少している。

企業からは「官庁工事は繁忙期の状況に入り、年末の現場が重なり人手不足の状況」(一般管工事)など、季節需要の好調による人手不足を感じている声があがった。一方で、「従業員の確保が出来ないため運営出来なくなるという心配もある」(情報家電機器小売)といった、将来を不安視する声も聞かれた。

非正社員の「不足」企業は29.3%、すべての規模で減少傾向

非正社員が「不足」している企業は29.3%となった(1年前比4.8ポイント減)。正社員と同様に不足感は減少しているが、非正社員の方が減少幅は大きく、10月としては3年ぶりの2割台に低下した。「適正」とする企業は62.6%、「過剰」は8.1%だった。

業種別にみると、「飲食店」は78.3%となり、高水準での推移が続いている。「娯楽サービス」(64.2%)、「旅館・ホテル」(61.9%)、「飲食料品小売」(60.7%)の3業種が6割台となった。

規模別では、「大企業」は33.7%(1年前比3.3ポイント減)、「中小企業」は28.1%(同5.2ポイント減)、「小規模企業」は29.4%(同3.4ポイント減)となり、すべての規模で1年前を3ポイント以上下回った。
製造業の人手不足割合は大きく減少するも、非製造業はほぼ横ばいで高水準続く

『製造』、『非製造』別にみると、『製造』では、正社員の不足割合は39.3%(1年前比9.1ポイント減)、非正社員では22.8%(同11.5ポイント減)となり、人手不足割合は1年間で大きく減少している。一方『非製造』では、正社員の不足割合は54.3%(同0.2ポイント増)、非正社員の不足割合は32.2%(同1.9ポイント減)とほぼ横ばいで高水準が続いている。

重点的な人手不足解消に向けた政府支援が求められる

「TDB景気動向調査」(帝国データバンク)によると、10月の景気DIは前月比1.1ポイント減の43.9となり、3カ月ぶりに悪化した。国内景気は低調な設備投資や消費税率の引き上げにより後退局面入りの可能性が続くなか、さらに台風による被害が悪影響を及ぼしていた。

こうしたなか、正社員は5割を超える企業で、非正社員は約3割の企業で人手不足をそれぞれ感じている結果となった。

総じて、正社員、非正社員を問わず、『サービス』『小売』『運輸・倉庫』などが含まれる非製造業は、製造業と比較して多くの企業が人手不足を感じていることが明らかとなった。こうした産業に対して、政府は重点的に人手不足の解消に向けた支援を行うことが求められよう。

調査概要
調査対象企業:2万3731社
有効回答企業:1万113社(回答率42.6%)
調査期間:2019年10月17日〜31日
調査方法:インターネット調査
 

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