「 業務委託 という雇用形態は、詐欺だと確信している 」:ある フリーライター の告白 (12/2)

「 業務委託 という雇用形態は、詐欺だと確信している 」:ある フリーライター の告白
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191202-00000002-digiday-sci&p=2
2019/12/2(月) 11:51配信DIGIDAY[日本版]

米メディア業界は現在、労働組合の波に揺れているが、その一方で、福利厚生のない長期的なフリーランサー「パーマランサー」がフルタイム従業員と一緒に働いている。多くの場合、従業員として認められないまま、従業員と同じ量の仕事をこなしている。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回はあるフリーライターが最近廃業したデジタルメディア企業での仕事を振り返り、メディア業界が労働法の抜け穴を利用している理由を説明してくれた。

読みやすさを考慮し、内容には若干の編集を加えている。

──パーマランサーの問題点は?
業務委託の問題は、業界全体が同じ状況であることだ。(私が働いていた会社のように)労働者の権利を強く信じ、労働組合が強い場所でも、ほかのメディア企業と同じように業務委託が行われている。決められた上司の下で決められた時間だけ働き、その上司のために職務を果たす人材がいる場合、労働法の観点からすれば、その人物はパートタイム従業員だ。ところが、メディア企業はそうした人材を業務の受託者として扱う。私は従業員と同等の職務を与えられていたが、従業員と見なされていなかった。業界全体がそのような状況だ。

──パーマランサーとしての役割はどのようなものだったのか?
私がその会社で働いたのは1年ほどだが、夜間の編集者の代理を務めるようになり、2018年10月、昼間の勤務に変わった。1週間30時間労働で、週3日、午前8時から午後6時まで10時間働いた。1日当たり3〜5本の記事を書くことを求められ、順調にいけば、3〜4本投稿できた。特集記事も担当したが、本来休みの火曜日や木曜日に書くというおかしなこともあった。ただし、特集記事の場合、追加料金が支払われていた。

──報酬体系は?
業務委託の報酬は従業員の日給に匹敵する金額だったが、フルタイム従業員の福利厚生はまったくなかった。月額4500ドル(約49万円)の報酬を請求していたため、書類上はかなり稼いでいた。週30時間労働で年収約5万4000ドル(約590万円)だ。しかし、従業員と異なり、会社による税金の負担や福利厚生はなかった。フルタイム従業員と同等の生活を送るには、毎月数百ドルの医療保険料を支払わなければならなかった。また、業務委託では課税前の報酬が支払われるため、政府に税金を納められるよう貯蓄する必要があった。

──労働時間が週30時間を超えることはよくあったか?
どちらとも言えない。上司や編集者はいつも午後6時に仕事を終えていた。特集記事を担当するときは、勤務時間外に働いた分の追加料金が支払われた。ただし、私にとっては週3日労働も週5日労働も同じで、どちらも任意の数字だ。週25〜30時間も働いたら、フルタイムの仕事になってしまうためだ。ひとつの仕事にこれほど多くの時間を投じたら、それ以外の何かに集中するのは難しい。

──フルタイム従業員になりたいと思ったことは? それを求めたことはあるか?
私はフルタイムの仕事を求めていたため、フルタイム従業員にしてほしいと要求した。しかし、私を雇用しないと決めたのは直属の上司や編集者ではない。彼らは私を応援しくれた。私が働いていたとき、(会社は)新しい人材を雇用できるような状況ではなかった。自分の仕事がフルタイムの仕事になることを期待していたが、望みはかなわなかった。

──再びパーマランサーになりたいと思うか?
なりたいと思わないが、翌月の家賃を支払うためであれば、私は何でもする。パーマランサーに分類された人のほとんどは、システムが狂っていること、悪用されていることを知っているか、すぐに気付く。このシステムは、コンテンツをつくる人が得するようにできていない。福利厚生が不要な人材は安く雇うことができる。業務委託は詐欺だと私は確信している。メディア企業の経営者は抜け穴を利用しており、取り締まりを受けることはない。もうパーマランサーにはなりたくないが、きっとなるのだろう。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:ガリレオ)
 

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