教員の働き方改革、本格化へ 学校の業務改善急務 (12/5)

教員の働き方改革、本格化へ 学校の業務改善急務
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2019/12/5(木) 7:28配信 時事通信

 公立学校教員の働き方改革を進めるための改正教職員給与特別措置法が4日の参院本会議で可決、成立した。

 学校現場では、教員の長時間勤務に歯止めがかからず、精神疾患による休職者が増加。教員採用試験の受験倍率低下なども深刻で、改革はまったなしの状況だ。文部科学省は今回の法改正をてこに学校の業務改善を急ぐ。

 改正法の柱は、勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」を、自治体の判断により公立学校で導入可能にすることだ。繁忙期の所定労働時間を増やし、代わりに夏休み期間中に5日程度の休日を確保。土日などと合わせて長期休暇を実現し「教職の魅力を向上させる」(萩生田光一文科相)としている。

 しかし、現場の教員からは批判の声も出ている。「率直に言って、大変憤っている」。先月28日の参院文教科学委員会の参考人質疑で、岐阜県立高校教諭の西村祐二氏は、変形労働時間制に強く反対した。繁忙期の定時が延長されれば、その分の業務負担増が懸念される。夏休み中に部活動や研修などがなく長期休暇が取れる状況ならば、制度を導入しなくても年休消化で対応できるというのが西村氏の主張だ。

 実際、変形労働時間制は直接、教員の負担軽減につながるものではない。文科省も「働き方改革の選択肢の一つ」(担当者)としている。ただ、制度の導入により学校側が業務の繁閑期を適切に把握し、勤務時間管理の徹底、夏休みの部活動や研修の見直し、学校閉庁日の実施といった、長時間勤務是正に必要な取り組みが進むきっかけになると期待している。

 また、改正法には原則「月45時間、年360時間」以内とする教員の残業上限ガイドラインを指針に格上げし、法的拘束力を持たせることも盛り込んだ。これに基づき同省は、2022年度をめどに教員の勤務実態状況調査を実施。その結果を踏まえて、さらなる法制度の見直しを行う方針だ。
 

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