韓国 過労死OUT対策委記者会見(2019.4.1) (2) 資料

 韓国の過労死実態

 
1)過労死実態
 2017年過労死354人(日本の過労死防止法で定めた脳心血管疾患適用)
 過労死(の数)が高い職群である公務員、病院医療関係者、教師などが私学年金、公務員年金補償で産災補償統計除外. 過労死亡の危険が高い貨物運送など250万特殊雇用労働者統計もなし。
– 12年間、毎年過労死亡平均370人、墜落死亡402人
 墜落死亡は95%産災承認、過労死は産災承認率35%内外である。 実質発生は過労死亡が墜落死亡を上回るものと推定
 福祉部発刊の自殺白書 業務上理由で自殺労働者、毎年600人内外
 
 2)長時間労働と労働者健康
 
○交替勤務及び長時間労働と産災事故、失敗、実行力との関係を調べた研究対象文献考察
Scand J Work Environ Health 2011;37(3):173-185
 -一日8時間以上働く場合、8時間勤める人より事故危険が50%程度高い
-一日12時間以上超長時間で働く場合には事故危険が2倍以上増加する。
– 8時間を超過する勤務は疲労関連失敗、事故危険が1.3〜1.98倍増加する。
– 12時間超過する勤務は8時間以内の勤務に比べて事故発生危険が1.37〜3.29倍増加する。
 ○ 4次勤労環境調査分析
    4次勤労環境助詞分析:韓国労働者29,113人対象調査
○勤労時間が勤労者の健康及び事故に及ぼす影響研究(2011. 産業安全公団)
 
(1)外国資料引用
 1日8時間勤労より12時間勤労が事故危険発生比率が2倍高い
 1日11時間以上労働が8時間労働より心筋梗塞が3倍以上増加. 糖尿病は4倍以上増加
 Spurgeon (2003) 2ヶ国事故調査研究で作業始まり後9時間から事故率が増加して、8時間以上からは失敗が増加すると分析される。
 Park (2001) 1994sus 120万個以上の事故資料分析で事故危険が勤務時間9時間の時から幾何級数的に増加すると分析
(2) 3次勤労環境実態調査分析
 腰痛発生率は40時間以下労働者対比52時間超過労働者が1.85倍高い
 憂鬱問題は40時間以下労働者対比52時間超過労働者が2.13倍高くて、不眠症と睡眠障害は1.86倍高い
 欠勤は40時間以下労働者対比52時間超過労働者が2.24倍高い
 
連続休息時間制度と労働者健康権保護
 
1)韓国に導入された連続休息時間制度
  特例維持業種に<連続休息時間制度>導入. しかし、EU指針によるヨーロッパなど外国の制度は1日24時間当り最低11時間の連続的休息時間制を運営して事実上1日労働時間上限が13時間になって、その他に追加的に1日労働時間上限を規定することもある。 しかし、韓国の特例維持業種の連続休息制度は<勤労終了日>を基点にするという法文になっている。 これについて労働部解釈も勤務開始日を越える勤労の終了日も勤労終了を基点と解釈する。
  1日の労働時間上限がない状態で連続休息時間制度が導入されても、2日連続して進められる勤務に対する勤務終了日を統合解釈するので、1日20時間を超える労働が進められることも可能な状況である
 改正法では、休日勤労が時間外勤労と同一の取り扱い。 現在は11時間の連続休息だけ提起して、週休確保について別途の言及がないので、週休日も休日勤労が実施可能になると解釈される
– 3ヶ月超過の弾力勤労制を実施する場合、導入することになっているが、勤労者代表と合意すれば実施しなくても良いように例外規定を置いた。 韓国の労働組合が10%内外の組織率であることと、形骸化した勤労者代表制度の現実では、事実上、実施が不可能な制度に転落する
 
 2)ヨーロッパなど外国の弾力勤労制導入と労働時間上限制
 ○ EU指針
 延長勤労を含んで7日の平均労働時間が48時間を超過しないようにする。
 加盟国が4ヶ月を超えない期間で変形可能。しかし、6ヶ月単位期間を超えることができない。
(1)ドイツ(勤労時間法)
 1日単位の法定勤労時間がある。 延長勤労も1日10時間上限
 6ヶ月、または、24週以内に1日平均勤労時間が8時間を超過しないという前提で1日の勤労時間を10時間まで延長許容
 連続勤務6時間以前に休憩時間付与。
 1日勤労時間の終了以後、最少11時間の連続休息時間制度保障
 夜間勤労者の1日勤労時間は8時間超過禁止
 日曜日、または、法定休日の勤労提供禁止
(2)フランス
 法定勤労時間は週当たり35時間
 一部業種の場合、週35時間超過勤労時間特例制も適用。 1日及び1週労働時間の上限線(1日10時間、1週48時間及び連続する12週平均1週44時間)内で延長勤労が可能な年間限度時間を団体交渉で定める。
 夜間勤労は厳格に制限. 通常的夜間勤労は(1日3時間以上及び1週2回以上の夜間勤労、または、年間270時間以上の夜間勤労)妥協の締結で、妥協ができない場合には、勤労監督官の承認がなければならない。 有給の休息付与、産業医による健康診断などを要件にする。
(3)その他国家
〇 フィンランド
 法定労働時間1日8時間、週当たり40時間
 制限的に弾力勤労制導入可能、導入時週6日許容. 1日の法定労働時間である8時間を延長することは許されないので、週48時間を超過することはあり得ない
〇 ポルトガル
 -憲法第59条「勤労時間の最大限度をもつ権利」明示. 勤労時間制限は憲法上権利で
 延長勤労は普通の勤労日の場合、2時間を超過できない。 延長勤労の延長は不可能
 休日に勤労する場合、平日の通常勤労時間だけ勤労可能
〇 ベルギー
 1日8時間。週当たり労働時間38時間
 連続性を持つ作業、プロジェクト性事業などについて最大11時間週50時間上限設定
〇 台湾
 -法定労働時間1日8時間、週当たり40時間
 -総勤労時間1日12時間上限。総延長勤労時間1ヶ月46時間上限
〇 シンガポール
 -法定労働時間1日8時間。週当たり44時間
 週5日勤務をする場合、週当たり44時間未満で、1日9時間労働上限。
 弾力的勤労時間運用可能だが、いかなる場合にも1日労働時間が12時間超過禁止
 
3)日本の弾力勤労制度導入と労働時間上限
 2018年法改正(いわゆる働き方改革)
 労働時間上限制度導入(2019年4月1日施行)
 - 1日及び1週間の勤労時間の限度は1日10時間、1週間52時間(労基法施行規則第12条の4第4項)。
 -単位期間が3ヶ月を超える場合には
 ?単位期間でその勤労時間が48時間を超える週が連続する場合、連続する週が3週限度
 ?単位期間を3ヶ月毎に区分した各期間でその勤労時間が48時間を超える週が3週限度
 ?連続して勤労させることができる日数の限度は6日
 ?対象期間中、特定期間に連続勤労も12日が限度。1週に1日の休日確保(労基法施行規則第12条の4第5項)
 -所定勤労時間は、過半数代表者の同意を得て当該単位期間開始30日前に該当勤労者に通知して特定しなければならず、所定勤労時間変更時には、該当勤労者の同意を得なければならない。
 
3. 現場実態
1)映画放送産業
 -映画、放送製作現場の労働時間は多く、一日20時間、少なくて12時間以上続いている。 撮影はほとんどの夜明けに締め切られ、放送製作スタッフは十分な睡眠で疲労を解消するどころか、翌日午前の撮影日程に結合するためにサウナなどで寝なければならない非人間的な労働を強要されているのが実情である。各種死亡・負傷事故につながる。 例)ドラマ<キングダム>・<華政>・<女王の花>、EBS <ドキュメンタリープライム-野獣の方舟>製作スタッフ死亡事故
 ドラマ製作期間中、1日平均の労働時間19.18時間、月平均休日4.0日/ PD・演出1週平均労動日数5.6日、1日平均労働時間12.1時間/作家週当たり1週平均労働日数5.7日、1日平均労働時間10.6時間
 希望連帯労組放送スタッフ支部が291人対象で実施した調査の結果によれば、労働時間短縮が施行された2018年7月以後にも1日平均労働時間は17.7時間に達する。 弾力勤労制が導入されれば、日単位労働時間制限がないので一日12時間ずつ5日間すべき仕事を3日間一日20時間ずつする方式で働くことになる。去る8月撮影強行で若いスタッフが突然死したことがあった。
 - 2018.7.1. 週当たり労働時間68時間制限以後、ドラマ製作現場を中心に各種の脱法的やり口発生( 1日の撮影時間はそのままにして撮影日数だけ減らし週当たり68時間をオーダーメード(別名「68時間総量制」)日雇制スタッフは撮影日数減少によって実質的に賃金カット。
 放送業は、いままで特例制度で週当たり100時間に肉迫する長時間労働が可能。特例廃止以後、地上波放送会社は対策として「柔軟勤労時間制」導入検討。長時間労働を維持する方向に向かっている(SBS、KBS等)
 
2)建設業
(1)建設現場管理職労働者
 2018年初め週52時間導入無力化のために、労務法人コンサルティングを受けて300人以上建設企業に弾力勤労制導入
 多くの建設会社が現行勤労基準法の要件を全く備えないで弾力勤労制導入
 過半数労働者が組織されている労働組合との書面合意がない。 弾力勤労制の具体的適用範囲、対象、時期の定めがない
 建設工事の場合、建設企業が共同受注形態に進行される場合が多い。 労組がない事業場の勤務制導入が全体労働者の弾力勤労制実施強要につながることになる。
 突貫工事や竣工切迫などの特殊な場合でない場合にも常時的な長時間労働が拡大する
(2)建設現場プラントなど日雇い雇用
 化学産業団地、発電、製鉄などの定期的な設備保守工事の場合、数ヶ月間進められている。 各企業が設備保守人材投入人員募集などを考慮して次々と工事進行
 -プラント労働者の場合、弾力勤労制が拡大適用されればS企業設備補修工事を4ヶ月して終了した以後にH企業設備補修工事が開始されて働くことになる。このような場合、企業の立場では弾力勤労制を実施して集中労働と短時間労働が交代で進行されるが、労働者の立場では雇用企業は変わるが労働時間は長時間集中労働を連続にすることになる状況が発生する。
 -また、雇用期間が短期間であるから、賃金保全の方案も別に探すのが難しい状況であり、全国の現場を工事計画よって移動する状況である。 これに対し事実上賃金保全の方案を探すことが難しい
 建設現場包括賃金制廃止を契機に、建設現場の実質労働時間短縮が進行され、これによる事故発生減少、筋骨格系疾患、脳心疾患など職業病減少を期待していたが、弾力勤労制が導入されれば無力化する。
 

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