第15回 休講脱線 十年一日小物狙いの釣り三昧

 妻の郷里の小豆島に帰省しています。40年このかた、恒例のお盆休暇です。島の家は土庄町長浜といって岡山県の牛窓を臨む位置にあります。すぐ目の前に海が見え、間近に潮騒が聞こえます。東に数分歩けば小さな漁港があって、その波戸ではこの時期だとマハゼの良型が釣れ始めます。古い堤防の石垣を攻めれば、小さいながらアブラメも楽しめます。夜釣りでは電光浮きの仕掛けで小さなメバルやガシラも釣れます。

西側には地名の元になっている長い浜が続いています。そこを数分歩けば、ごろた石混じりの砂浜です。そのあたりの私が立石と名づけている大きな岩の近くでは夏場は投げ釣りでキスやベラがよく上がります。

餌はもっぱらゴカイです。初めの頃は近くの浜で手にマメができ、それがタコになるほどにしつこく掘っていました。しかし、かなり前に妻が免許を取って車で帰るようになってからは、横着を決め込んで釣具店で買うようになりました。

私の釣りは家族の食料調達を兼ねているので、何も釣れなければ困ります。それに坊主はおもしろくありません。そこでいきおいハゼやキスといった釣れる確率が高い小物狙いになります。今年もそのセオリーどおりの釣果でした。

若い頃は釣り場を探して遠出をしたこともあります。近場でも、チヌの大物にチャレンジしたこともあります。ある年は漁港の波戸でウナギを釣ったこともあります。ウナギは川とばかり思い込んでいたので、海でけっこう大きいのが何匹もかかったのは意外でした。

ボラ釣りもしました。L字型の天秤重りを発泡スチロールで巻いて浮くようにする。針に腐りかけたゴカイをつけて、投げ釣りの要領で遠投し、ゆっくりと手前に引く。すると、ボラが追っかけてぱくりと食らいつくという寸法の仕掛けです。ボラは夕方浅い海水面に群れをなして波紋を描くときがあります。そこをねらえばバッチリです。夏のボラは食べるには不向きですが、60cm級と格闘する醍醐味は相当なものです。

でも最近は年のせいかこういう浮気はしなくなり、来る年も来る年もひたすら小物をねらっています。十年一日もいいところです。趣味はともかく、本業ではそうことにはならないように自戒しなければなりません。

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