第132回 土曜の夜の新幹線に乗って実感した経済活動の縮小

私は学会やその他の所用で年に数回上京し、たいてい新幹線の最終便かその直前の便で帰ります。昨夜もその例に漏れず午後9時10分の最終直前の便に乗りました。

3月11日の大地震、大津波と原発事故以来、人々の社会生活や経済生活に大きな異変が起きているとは気づいていましが、昨夜は普段と比べての乗客のあまりの少なさに驚きました。

乗ったのは定員100人の6号車でした。東京駅の東海道新幹線の当日券売り場は閑散としており、めずらしくまったく待たずに切符を買えました。発車直後に立ち上がって数えたら、東京駅から8人が乗ったようです。その後、品川駅から7人が乗り込んできて、新横浜では乗降客はいなかったので、結局、100分の15=15%の乗車率で名古屋まで走りました。名古屋で8人が下車したので、名古屋−京都間の乗車率は7%、京都では私ともう1人が降りたので、京都−大阪の乗車率は5%にすぎませんでした。

他の車両(号車)は、確かめたわけではありませんが、6号車と似たり寄ったりか、位置から考えて6号車より低かったのではないかと推察されます。このことは震災を境に日本列島における人の移動が少なくなっている、あるいはそれだけ経済活動の縮小していることを示しています。平日の日中は以前とあまり変わらなくとも、夜、わけても土日の夜は縮小の程度が大きいのかもしれません。

昨年同時期に比しての経済活動の縮小の程度を、電力の需給データから見てみるとどうでしょうか。簡単にネット検索した範囲では、東電(および経済産業省)のホームページに、1日24時間の各時間帯について、東電エリア内の電力需要の当日実績と前年相当日の実績を比較したグラフが示されています。それを見ると、本日の午後7時現在の当日実績は3025万kw(これは別途発表の数字データから確認)、前年相当日の同一時間の実績は約3700万kw(これはグラフの目視による概数)です。

いささか乱暴ですが、これをもとにアバウトに推定すると、電力需要から見た、個人消費を含む経済活動の縮小率は、昨年比0.82、つまりマイナス18%ということになります。一時問題になった「計画停電」はいまのところ実施されていませんが、それはそうせずとも経済活動の縮小の結果、電力の需要が供給能力を大きく下回っているからです。

東電の需給データから「本日のピーク時供給力」と「本日の予想最大電力」を単純に比較すると、3700万kw:3100万kw、つまり100:84になります。これも経済活動の規模がいかに縮小しているかを示唆しています。

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