1月17日に厚労省と文科省から、昨年12月1日時点の就職内定率の調査結果が発表されました。それによると内定率は71.9%で、過去最低を記録した前年同期(68.8%)より3.1ポイント上昇したものの、過去2番目の低さにとどまっています。
性別に見ると、男子は73.1%、女子は70.5%で、昨年度同様に女子のほうがより厳しいことが窺われます。ちなみに短大女子は47.9%で、4大女子より23ポイントも低くなっています。地域別では、九州地区が67.3%でもっとも低く、ついで中国・四国地区69.3%、北海道・東北69.5%、中部70.3%、近畿71.9%、関東75.4%となっています。大震災の被災地を含む北海道・東北は昨年度比で0.4ポイント落ち込んでいます。
調査対象は本年3月卒業予定の4年生です。現在の4年生が本格的な就職活動を始めたのは一昨年の10月でした。にもかかわらず、昨年12月1日現在の内定率(就職希望者に占める内定者の割合)が約7割ということは、就活本番突入から14ヵ月経過した時点でも、就職希望者の約3割は就職先が決まっていないことを意味します*。
さきの内定率調査結果には、3月卒業予定者55万人、就職希望者41万6000人、内定者29万9000人という数字が出ています。実数でいえば就職希望者のうち11万7000人もの学生がない内定で泣いていることになります。
私の担当するゼミナールの学生から、今年3月の卒業予定者は、内定を確実に取るために、応募企業を大企業から中堅・中小企業にシフトした人が多いと聞きました。それでも、12月1日現在、就職希望者の3割、約12万人の学生は就職が決まらずにいるのです。
厚労省と文科省による内定率調査は、毎年度10月1日、12月1日、2月1日、4月1日の4回行われます。4月1日調査で11年度の内定率が最終的に判明するまでには、一方で内定者が増え、他方で就職希望者が減る(年度内の就職活動を諦める者が増える)と考えられます。このことを踏まえて昨年度の推移から推測すると、最終内定率は過去最悪の昨年度よりややましになるかもしれません。
たとえそうだとしても、今後よほど雇用環境が改善され、新卒採用が増えない限り、内定率の大幅な改善は望めません。卒業予定者を大量に失業予定者にしないためには、新規雇用の大量創出が必要です。そのためには、新規採用の増加のための緊急対策が求められているだけでなく、拙著『就職とは何か――〈まともな働き方〉の条件』(岩波新書)で述べたように、時短を進めて雇用を増やす、サービス残業解消型のワークシェアリングが急がれます。