第243回 支配勢力の反動攻勢に「デモ足も出ない」時代は終わりました。

今日は当HPのテロップニュースが「閉塞の時代からせめぎ合いの時代へ、さらに押し返し追い詰めよう!」となっています。

これはいうまでもなく、秘密保護法案の廃案を求めるうねりのような運動の盛り上がりを念頭においた表現です。この法案をめぐっては、この間、「三猿の代価は一銭五厘の赤紙、市民の目、耳、口を塞ぐな!」とか、「何が秘密か秘密の法だ、デモでもテロだ黙っテロ!」とかいったテロップも流れました。

同法案は、それこそ「何が秘密か秘密」のまま、昨夜、参議院本会議で自公が強行採決して成立しました。現在の国会では自公が多数ですが、世論調査では、同法に対する反対が過半数を占めています。短い国会審議の過程でも日に日に反対者が増え、12月に入ると連日のように、国会や議員会館を取り巻くデモの列が膨れてきました。各紙が伝えているように、6日夜の日比谷野外音楽堂の抗議集会には1万5000人(主催者発表)が参加し、デモ行進に移ってからも、反対を訴える市民の声は、深夜までやむことはありませんでした。

6日は大阪や京都や神戸でも秘密保護法に反対する緊急集会とデモがありました。私の住む高槻市でも、5日夜、政治運動ととしては実に久しぶりに野外集会と街頭デモがあり、反対運動の広がりを示しました。

労働界の反対運動は出足が遅く盛り上がりに欠けるところがありましたが、近年ではめずらしくジャーナリスト、作家、音楽家、学者などの団体や著名人が一斉に反対の声を上げ、それに多くのNGOや市民団体が呼応して、抗議行動に合流しました。法案が国会に上程されてからは、朝日、毎日の全国紙や、東京新聞や北海道新聞をはじめとする地方紙も、反対の論陣を張ってきました。

悔しいことに秘密保護法は成立しましたが、主観的には無力感はありません。押し切られたという感じよりも、対峙しせめぎ合い押し返したという感じです。せめぎ合いの時代は、大規模で波状的な集会やデモから見ると、今度の秘密保護法の反対運動で幕を開けたというより、3.11以降の原発反対の声の高まりで切り開かれたと言えます。そこで蓄積された力が湧き出たのが今回の反対運動であったとも考えられます。

秘密保護法反対のデモの広がりは、長らく続いた支配勢力の反動攻勢に「デモ足も出ない」時代が終わったことを示しています。しかし、労働組合運動は依然として沈滞したままで、ストもないという意味で日本は「ストレス社会」になっています。時代はこれを打破して、労働界が資本側に対峙し、労資のせめぎ合いに打ち勝つ力を取り戻すことを求めています。

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