私立学校における長時間労働の改善について3 ~関西大学中等部高等部における経験をもとに~

○まとめ
 関西大学における教員の長時間労働の改善に関する労使交渉では、茨木労働基準監督署の指導を仰ぎながら、労働時間管理と残業認定、残業代の支払い、という成果を勝ち取ることができました。
 しかし、2018年4月、この労働組合運動の先頭に立っていた教諭を、関西大学は不当に解雇する、という暴挙に出ました。現在、大阪府労働委員会で不当労働行為、大阪地方裁判所にて地位確認裁判で争っています。関西大学のこのような暴挙を許してはいけません。

不当解雇の経緯は、当会の初代代表の森岡孝二が最後のエッセイで記しています。こちらをお読み下さい。 https://hatarakikata.net/9475/

 私立学校において、時間管理・残業認定を行っていない違法経営を行っている学校法人は大変多くあります。しかし、これは違法経営で、明らかな労基法違反を公然と行っています。
 時間管理を行わないことは教員の長時間労働の大きな原因です。そのことにより精神的に追い込まれたり、教員の家庭生活が阻害されたりすることは当然で、時間管理と残業認定、残業の抑制、健康な働き方を行うことが、今の学校には必要であることは明らかです。
 多くの先生が長時間労働により疲弊しています。時間管理が行われていない学校、36協定が締結されていない学校はブラック職場、と言っていいでしょう。
 また、私達教員も自分の労働時間を適切に把握できておらず、労災事故などが起こった際に、教員自身の勤務時間等の証明が困難になってしまうことになります。私達自身も自己防衛のために適切な勤務時間の把握を行う必要があります。
 関西大学初等部中等部高等部教員組合では長時間労働の削減、人間らしい生活を求め、残業代認定の闘いを行ってきました。すべての主張が認められたわけではありませんが、「部活動を残業として認定される」「教員の仕事の定義を確認する」「手当を基礎賃金に参入させる」といったことを勝ち取りました。
 労基署を活用しながらの職場改善の事例として参考にしてください。

以上

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この記事を書いた人

伏見太郎