過労死ライン超える残業 大手41社が「OK」 大阪府内

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090627/lcl0906272005002-n1.htm
 大阪府内に本社がある1部上場企業の50%近くが労働組合との間で、月80時間以上の時間外労働を命じることができる労使協定を締結していることが、弁護士らでつくる「大阪過労死問題連絡会」の労働基準監督署に対する情報公開請求で分かった。月80時間以上の残業は、厚生労働省の労災認定する際の認定基準で、心臓疾患を発症させる可能性があるとした「過労死ライン」。連絡会は「労働者を守るはずの労使協定が、逆に過労死を生み出す要因になっている」と指摘している。
 問題の協定は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合の労使の義務を定めた労働基準法36条に基づいて結ばれている。通称・36(さぶろく)協定と呼ばれており、厚労省は36協定で労使が決める時間外労働の限度を「原則月45時間」とする一方、臨時に「特別な事情」が予想される場合は、45時間を超えてもかまわないと告示。上限は示していない。
 協定で労使が合意すれば長時間の時間外労働が可能で、80時間の「過労死ライン」を超えても合法となるため、連絡会が実態を調査。今年4月、東証1部か大証1部に上場している大阪府内の企業約250社について、管轄する各労基署に情報公開を請求した。
 これまでに公開された86社のうち41社(47・7%)が、時間外労働の限度を月80時間以上に設定していたことが判明。このうち100時間以上に及ぶ企業は13社(15・1%)に上り、中には月150時間を年6回まで課すことができる電機メーカーもあったという。
 また、36協定では時間外労働とは別に休日出勤の取り決めもできる。労基法では4週間につき休日4日の取得が義務づけられているが、86社中17社(19・8%)は、すべて返上させて出勤を命じることが可能と定めていた。
 連絡会の松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「不況下だからこそ正社員の業務量は増えており、過労死の危険は高まっている。労組や労基署は36協定を結ぶ前に長時間労働への歯止めをかけ、従業員の心身の健康を守るべきだ」としている。

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