毎日新聞 2014年03月19日 21時10分
自民党の過労死等防止に関するワーキングチーム(座長・森英介元法相)は19日、会合を開き「国に過労死防止のための対策を推進する責務がある」と明記することなどを柱とした過労死防止法案(仮称)の内容をほぼ固めた。過労死を防ぐ法律は、超党派の議員連盟(馳浩代表世話人)が議員立法での成立を目指しており、昨年末に議連の野党議員が先行して「過労死防止基本法案」を国会に提出している。自民党は議連とも調整し、今国会での成立を目指す。
この日、ワーキングチームで大筋で了承された法案は(1)過労死の調査研究(2)国民への啓発(3)相談体制の整備(4)過労死防止の対策−−を「四つの防止対策」とし、国に推進の責務を課した。併せて地方公共団体や企業の努力義務も盛り込んでいる。さらに、国が過労死防止策を推進するための大綱を定めることや、過労死の遺族や労働者代表などを入れた協議会を設置して意見を聞くことなどを盛り込んだ。
過労死の定義を巡っては、現在の労災認定に基づき「脳・心疾患と精神障害」とするという意見と、長時間労働を原因とする幅広い疾病と捉えるべきだとの見解がある。会合では定義や法案の具体的な名称についてはまとまらず、次回以降に持ち越した。
法律の制定に取り組んできた「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は自民党案について「企業責任の明確化がないなど満足できない部分もあるが、私たちの声が届き、法律制定が目の前まできたことは評価したい」と話した。【東海林智】